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水星の魔女

考察 『機動戦士ガンダム 水星の魔女』 2話 感想とネタバレ解説

水星の魔女2話
オペレーター
オペレーター
サンライズ制作によるによるオリジナルTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の2話「呪いのモビルスーツ」のネタバレ解説と感想です

2話は謎めいた行動をするキャラクターのエラン・ケレスとプロスぺラを中心にキャラの思惑・行動原理などを深掘りします

エラン・ケレス

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スレッタに近づく理由

エラン・ケレスがスレッタに興味を持って近づきます

2-8© 創通・サンライズ・MBS

円城寺
円城寺
でもエラン・ケレス自身は「人を好きにならない」と言っていますね

僕は、人を好きになったりしない絶対に(byエラン・ケレス)

ドロシー
ドロシー
異性として興味を持ったというより、ガンダムのパイロットとしてのスレッタに興味を持ったっていうことね

(仮説)エラン・ケレスはガンダムのパイロットとしてのスレッタに興味を持った

ひとみん
ひとみん
エラン・ケレスってガンダムに乗るんだよね?

エラン・ケレスの搭乗機としてガンダム・ファラクトが紹介されている

(仮説)エラン・ケレス自身がガンダムに興味があり、搭乗したいと願っていた

ドロシー
ドロシー
どうしてガンダムに搭乗したいって思っていたか、その理由にドラマがありそうね。カギは読んでいた本かな?

意志と表象としての世界

エラン・ケレスが読んでいた本は「意志と表象としての世界」という哲学書です

「意志と表象としての世界」を読むエラン・ケレス

2-20© 創通・サンライズ・MBS

円城寺
円城寺
難しそうですね

「意志と表象としての世界」の序文と本論に分けて考察してみましょう。

序文

まず序文の一部を引用します

まがいものではないほんものの仕事は、それを産み出す能力のない連中がともに結束して擡頭をはばむことがなければ、もっとたやすくこの世に場所を得られることであろう。

世の中のためになるはずのものが、息の根をとめられないまでも 、世に出るのを妨害され遅らされることが従来も少なくなかったのはこうした事情のせいである。

「意志と表象としての世界」序文より

円城寺
円城寺
なるほど。『まがいものではないほんものの仕事』というのは、ヴァナディース機関がやっていたGUNDの研究の事ですね

【『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に置き換え】

『まがいものではないほんものの仕事』=GUNDの研究

『それを産み出す能力のない連中がともに結束』=カテドラル

『擡頭をはばむ』=ヴァナディース機関を壊滅してガンダムを禁止する

『世の中のためになるはずのもの』=ガンダム

ひとみん
ひとみん
置き換えてみると、分かり易い!エラン・ケレスはガンダムを世に出したい側なんだね

エラン・ケレスはガンダムを世に出したいのか?

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表象とは何か?

オペレーター
オペレーター
次に「意志と表象としての世界」本論と「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の関係について考察します

「意志と表象としての世界」の主張は、分かり易く言うと”(人にとって)世界は意志と表象で出来ている”と言う事です

ひとみん
ひとみん
表象って何?

表象

一般に例えられるのはブルーレイディスク、ブルーレイレコーダー、再生される映像の関係です。

  • 物の実体は丸いディスクの信号
  • 人々が認識するのは再生される映像
  • 物を認識に変換するのがブルーレイレコーダー

このうち、表象というのは”再生される映像”のことを指します。人が物を認識する機能がブルーレイレコーダーです。

円城寺
円城寺
なるほど。人が認識する世界は、ディスクに刻まれた信号ではなく、再生される映像によって形作られる訳ですね

そうです。人は得た知識・経験によって、物を変換して認識します。客体ですね。表象は客体です。そして意志(will)は物の実体を指します。

ひとみん
ひとみん
え~よくわなんない。意志が物の実体?!それと「機動戦士ガンダム 水星の魔女」はどう関係するのかな?

例えば、同じGUND(ガンド)技術でも、人の命を助ける医療技術・福祉工学という「表象」がある反面、GUNDフォーマット(ガンドフォーマット)として軍事転用されれば人の命を危険にするという「表象」がある。

確かに現時点では不明な部分が多いですね。プロスぺラとデリング・レンブランの論争の所でもう一度考察してみましょう。

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プロスぺラ

ガンダムで仮面と言えば

怪しい女性、シン・セー開発公社CEOのプロスぺラが登場しました

2-7© 創通・サンライズ・MBS

彼女は果たして誰か!?その正体は!

ドロシー
ドロシー
エルノラ・サマヤでしょ。声優も一緒(能登麻美子)だし
円城寺
円城寺
隠す気無しですね

でもガンダムで仮面といえば・・・

ひとみん
ひとみん
シャアアズナブル
ドロシー
ドロシー
マクギリス・ファリド

たくさんいますが、ガンダムシリーズの仮面キャラの特徴は以下でしょうか

  • 重要なポジションであることが多い(と言っても半分くらい)
  • エンディングの声優クレジットで誰かはバレる(視聴者に隠す意図なし)
円城寺
円城寺
仮面を被せる目的は、登場キャラ達に正体を隠す事が目的で、視聴者に隠す意図はないって事ですね

シン・セー開発公社

もう一つ、プロスぺラ=エルノラ・サマヤを考える根拠としてはシン・セー開発公社の事業内容紹介があります。

2-15© 創通・サンライズ・MBS

意訳:シン・セー開発公社の事業はモビルスーツと医療機器の統合オペレーションシステムの開発である

円城寺
円城寺
本来、採掘屋(ヴィム・ジェタークの弁)であるはずのシン・セー開発公社の事業がいつの間にか、医療技術や福祉工学になっているという事ですね

デリング・レンブランとの論争

審問会でデリング・レンブランとプロスぺラの論争がありました

デリング・レンブランとプロスぺラの論争の論点

プロスぺラの主張

水星の環境は過酷。ドローン技術を応用できれば、人の身体を危険に身を晒すことなく採掘事業が出来る

オペレーター
オペレーター
これに対してプロローグであったデリング・レンブランの主張を整理しましょう
デリング・レンブランの主張

人を殺傷する兵器は、人の意志によって動かすべきだ。人が躊躇い、覚悟を決め、その罪・責任を感じてこそ、歯止めが効く

ひとみん
ひとみん
どういうこと?!
ドロシー
ドロシー
例えば、核攻撃をするボタンを人が押すんじゃなくって、AIが判断するようなシステムはコワイでしょ、という論理だてね

ガンダムは自我を持っています。それはドローンやガンダムが自らの意志で殺戮をしてしまう。或いは、人が兵器を使って殺害をするハードルが下がってしまう危険が伴うというのがデリング・レンブランの主張です

円城寺
円城寺
ドローンがやっちゃうと戦争をコンピュータゲームのように感じてしまう恐れがあるってことですね
円城寺
円城寺
つまりここでの対立軸はガンダムが持つ自我(=意志)の危険性をどう認識するかの違いと言う事ですね

プロローグではGUND(ガンド)は義肢などの福祉工学や医療技術として人の命を助けるものでした。実際、エルノラ・サマヤは「この技術のお陰で私は生きていられる」と語っています

GUND(ガンド)が人の命を助けるという一つの表象

これがGUNDフォーマット(ガンドフォーマット)として軍事転用されると一転して搭乗者の心身に莫大な負担を強いる技術となります。

GUNDフォーマット(ガンドフォーマット)が人の心身に異常をきたすという一つの表象

こうしてGUND(ガンド)という一つの実体(will)は、二つの表象を見せる事があります

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テンペスト

それにしてもキャラのネーミングが、シェークスピアの『テンペスト』と同じです

復讐を意図する人物:プロスペラ

プロスぺラに従う妖精:エアリアル

円城寺
円城寺
戯曲と映画で性別やネーミングが微妙に違ったりしますが、設定もよく似ていますね

(似ている点1)プロスペラは復讐の為、娘と王子を結婚させようとする

(似ている点2)『テンペスト』では母娘は島に逃れますが、「水星の魔女」では、それが水星に置き換わっています。

風雅
風雅
モチーフにしているのは間違いないと思いますが、違う要素も盛りだくさんなので、どこまで似せてくるかはわからないですね

因みに『テンペスト』ではプロスペラはエアリアルの説得に応じますが。

プロスぺラの狙いは何か?

ひとみん
ひとみん
決闘でエアリアルの性能を見せたら、こうなるってわかっているのに。プロスぺラの狙いは何?

プロスぺラがエルノラ・サマヤだとすると、目的は復讐です。その手段としては以下の3点が考えられます

  1. デリング・レンブラン個人への復讐
  2. ガンダムを世に出す事による復讐
  3. カテドラルを崩壊させる事による復讐

①は娘を奪う事でしょうか。単純に個人への復讐ならヴィム・ジェタークがやろうとしたように暗殺でいいわけですから。②と③の為に今回の騒ぎを仕組んだと考えるのがストレートな解釈だと思われます。

ドロシー
ドロシー
審問会で意見が割れていたもんね

ベネリットグループ内でも、エアリアルの技術に興味を示す、御三家のジェターク社とペイル社。保守的なグラスレー社で意見が割れる

ドロシー
ドロシー
ヴィム・ジェタークが「他社の追い上げでモビルスーツのシェアが下がっている」言っていたけど、ベネリットグループ以外でもモビルスーツを開発している競合他社があるのね

モビルスーツはベネリットグループの独占事業ではなく、競合他社が存在する

円城寺
円城寺
つまりモビルスーツ開発評議会=ベネリットグループではないという事ですね

如何にも怪しいペイル社

ドロシー
ドロシー
そう考えるとペイル社は怪しいわね
ひとみん
ひとみん
どこが?

<ペイル社の怪しい点>

  • プロローグの段階では登場していない
  • CEOも擁立しているパイロットもガンダムに興味を示す
  • エラン・ケレスの搭乗機がガンダムである
ドロシー
ドロシー
ガンダムを否定するベネリットグループにいながらこうだもんね

オックス・アース・コーポレーション社と何か繋がりがあるのか?

ヴィム・ジェタークに持ちかけた事

ひとみん
ひとみん
決闘を無効にしたがっていたヴィム・ジェタークが態度を豹変させたのはプロスぺラに何か言われたから?

そうですね。それは3パターン考えられると思います

(パターン1)エアリアルの技術提供による競争力強化

(パターン2)再度の決闘による名誉挽回

(パターン3)デリング暗殺計画を知られていて脅迫された

ドロシー
ドロシー
会話の流れ的には①だけど、サリウス・ゼネリに嫌味言われていたもんね。②も可能性はありそうね

パターン3は、よもやよもやの大穴でしょうか

円城寺
円城寺
ヴィム・ジェタークは『テンペスト』でいうと王弟の位置づけかも知れませんね

ヴィム・ジェタークは、『テンペスト』の王弟のように、デリング・レンブランになり替わろうとする野心を利用される位置づけか。

デリング・レンブランはなぜ決闘に応じたのか

ひとみん
ひとみん
でもデリング・レンブランはなぜミオリネ・レンブランの要求を呑んで決闘に応じたの?

ミオリネの作戦勝ち・・・。

風雅
風雅
デリングの自縛ですね

デリングはミオリネに対して、「力の無いものは、力のあるものに従わなければならない」と言って言う事をきかせようとしました。

デリングが決めたルール

力のない者は黙って従うのがこの世界のルールだ

それに対して、ミオリネが持ち込んだのが「決闘で白黒つける」という誰の目にも力のある無しが分るシンプルなルール。

ミオリネの主張

どちらが力があるか、神聖な決闘で決めなさいよ

この後、デリングの決定に対する異論も噴出(プロスぺラの計略か?)。デリングは自分の権力の正統性を示す必要に追い込まれた

円城寺
円城寺
デリングは自分自身で決めたルールに縛られたわけですね

独裁者が自分の権力の正統性(力が有るものに力が無いものが従う)を否定する事ができない、その論理の矛盾をついたミオリネの作戦勝ち

ダリルバルデ

2-13© 創通・サンライズ・MBS

Cパートで登場したダリルバルデは、プロスぺラからジェターク社に提供された機体か?

ドロシー
ドロシー
これが決闘の相手かしら?
  • パーメットリンク構築
  • 意思決定拡張AI、接続完了
  • 戦闘空間ネットワークの展開確認
円城寺
円城寺
如何にもガンダムって感じですね

 

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