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平家物語

【考察】アニメ「平家物語」第2話 ネタバレ感想 表情を見せない演出

オペレーター
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テレビアニメ「平家物語」第2話「娑婆の栄華は夢のゆめ」の考察です。第2話は祇王に関するエピソードと、徳子の入内に関するエピソードが中心です

それぞれのエピソードの前に前提や相関関係を整理して、考察・感想を進めます。

灯篭殿

後始末

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2話は、殿下乗合事件の後始末から、スタートします

重盛が行った後始末

  • 平資盛は伊勢で謹慎
  • 基房を襲撃した侍たちに暇を出す
  • 重盛本人は、権大納言を辞任
円城寺
円城寺
これらについて、清盛は少々不満そうですが、重盛に苦労を掛けたとして、灯篭をプレゼントすると言います

(時子)重盛殿は屋敷に四十八もの灯篭を建て「灯篭殿」と呼ばれておるのだとか

(清盛)そんなに闇が怖いか、ん?

風雅
風雅
重盛の平家の棟梁としての地位が不安定なのが、わかるエピソードですね
オペレーター
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びわが、清盛に言い返しますが、逆に清盛に目を付けられます

殿下乗合事件の背景

オペレーター
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清盛がびわに目を付けた話は、清盛が時子に怒られて終わります

時子に怒られる清盛

風雅
風雅
このエピソードは恐らく、清盛の理不尽さをオーディエンスに強調するための創作エピソードですね
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この後、徳子からびわに、殿下乗合事件の背景が語られます。内容は1話で考察した内容と同じなので詳細はそちらをご覧ください
アニメ平家物語キー
【考察】アニメ「平家物語」第1話 ネタバレ感想テレビアニメ「平家物語」の考察です。原作は古典の軍記物語「平家物語」です。本作は、テレビアニメとしては、2013年の『たまこまーけっと』以来の山田尚子監督作品です。全体的に素晴らしい出来で、山田尚子監督作品が好きな人にはお勧めです。...
円城寺
円城寺
平盛子が相続した財産の話は、今後も火種になりますね

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怖いもの

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帰宅した重盛とびわは、雪が降る庭園で話をします

びわと重盛の”視える”が故の苦悩

(重盛)私は子供のころから暗闇が恐ろしかった。視えるせいかもしれぬがな。びわ、そなたは何が恐ろしい

(びわ)未来(さき)。わしは未来が恐ろしい

(重盛)そうか。闇も未来も、恐ろしくとも、今、この時は美しいの

風雅
風雅
びわが、雪で作った動物があっけなく崩れて行くのが、印象的ですね
ひとみん
ひとみん
悲劇的な破滅が近づいているって解っているだけに、一瞬、一瞬の美しさが印象的

美しい一瞬。二度と同じ一瞬は訪れない。二度と来ない一瞬の大切さを良く表したシーン

平滋子の存在の大きさ

嘉応の強訴

オペレーター
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平重盛が後白河法皇の元に、権大納言辞任のあいさつに訪れた日の夜、後白河法皇と平滋子が、双六をしながら密談をします

豆知識

権大納言の権とは?

副社長、副大臣とかの副という意味です。この場合は副大納言です。

知っている双六とちがう

この時代の双六は、今の一般的な絵双六と異なり、盤双六と呼ばれるバックギャモンのようなゲームです。

後白河法皇と平滋子

平滋子が気にしている事:重盛が時子の子供ではない事

後白河法皇が気にしている事:嘉応の強訴の時に重盛が命令に従わなかった事

円城寺
円城寺
後白河は、重盛が清盛に統制されている事を気にしているのですね

全てを調整した平滋子

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ここで登場した平滋子ですが、当時の利害対立する諸勢力を全て調整していたと言える稀有な存在でした

<当時の資料によると>

  • 美しく
  • 上(皇族)にも下(使用人)にも気配りが行き届き
  • しっかりとした几帳面な性格
  • 謙虚で慎み深い
円城寺
円城寺
上に立つ人の補佐役としては申し分ないですね

以仁王の親王宣下を邪魔した!?

オペレーター
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平家物語(原典)には、平滋子が以仁王の親王宣下を邪魔したと書かれていますが、これも物語上の創作を思われます

そもそも以仁王が親王宣下を受けられないのは当時の常識の範囲で会った(母親が女官のため)

祇王

前提1:祇王、そして白拍子とは?

白拍子とは、平安時代末期から、鎌倉時代にかけて流行った、歌舞または、それをする遊女のこと

円城寺
円城寺
白拍子の語源については、”服装が白いから”とか、”伴奏がない素声(しらごえ)で歌い舞うから”などの説があります
オペレーター
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有名な白拍子であった祇王は当初、清盛の寵愛を一身に集めて、上等な屋敷をあてがわれて、破格のお手当も受けていました

寵愛を受けた祇王

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前提2:祇王と仏御前の関係

ある日(祇王が清盛の寵愛を受けて3年が経った頃)、売り出し中の白拍子である、仏御前(当時16歳)が、清盛に認めて貰おうと屋敷を訪れますが、「呼んでも無いのに来るとは無礼だ」と清盛が追い返そうとします。

円城寺
円城寺
それを気の毒に思った、祇王が取りなして、とにかく清盛の前で今様を歌い、舞を披露する機会を得たのですね

仏御前にとって、祇王は恩人

ドロシー
ドロシー
そしたら瞬く間に清盛の寵愛が仏御前に移ったのよね。
オペレーター
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仏御前を気に入った、清盛は祇王を追い出して、後釜に仏御前を据えます。仏御前は大恩ある祇王に迷惑を掛けられないと、清盛の申し出を断ろうとしますが、清盛が権力にものを言わせて従わせます

 

屋敷を追い出された祇王が、仏御前宛てにメッセージを襖に書き残す

萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草 いづれか秋に逢はで果つべき

(大意)萌え出る若葉も、枯れ草も、もとはといえば同じ野辺の草。一時的な栄華も、いずれ凋落が訪れる。

ドロシー
ドロシー
祇王にすれば、庇を貸して母屋を取られるみたいな感じだったのね
オペレーター
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話はそれだけでは収まりません。祇王を不幸にしてしまった仏御前は塞ぎがちになり、清盛は祇王にそれを慰めるように命令します

(結果的に)自分の地位を奪った仏御前に仕えさせられる苦痛、しかも、かつてとは異なり、末席に座らされる屈辱など耐えがたい扱いを受ける。

ひとみん
ひとみん
という前提知識を持って、エピソードを振り返りましょう

『何時か』と『また今度』

オペレーター
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徳子の話し相手として、清盛の屋敷に来ていたびわが、祇王を母親と見間違えます
円城寺
円城寺
びわのお母さんも白拍子だったんですね

徳子のはからいで、びわが琵琶を演奏して、祇王が舞う機会が訪れる

びわの演奏で舞う祇王

その後、3人で談笑する中で、祇王がオッドアイの白拍子の話をする。その女性がびわの母親かもしれない、という話になり、徳子も捜すという

歓談するびわ・徳子・祇王

(祇王)何時か、きっと逢えるわよ

(びわ)「何時か」というのは、いい言葉だの。明日、明後日、未来(さき)の事が少し楽しみになるの

(びわ)祇王、また今度舞を見せて

(祇王)「また今度」もいい言葉ね

祇王がびわの手を握る

未来(さき)が怖いと重盛に話していたびわが、未来(さき)を楽しみにすることを知る

オペレーター
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しかし、びわと祇王に「また今度」は訪れませんでした

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表情を見せない演出

オペレーター
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祇王は、仏御前に合う為に退席しますが、対面の演出が印象的でした

表情を見せない演出

風雅
風雅
祇王の表情を見せないんですよね。それを見た、仏御前の表情から判断してくれって感じですね

祇王の表情を見る前

 

祇王の表情を見た後

ドロシー
ドロシー
仏御前は、祇王に逢えるのを待ちかねていたのね。でも、表情を見て顔が曇った。きっと阿修羅の表情よ
円城寺
円城寺
仏御前の反応を見て、祇王も表情を和らげるんですね。この辺りお互いの思いやりと、自分では感情がコントロール仕切れない、どうしようもない辛さが良く伝わってくる演出ですね

 

出家

オペレーター
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びわは、祇王の舞を再び見ることを楽しみに待つ。そこに徳子が、「祇王出家」の報をもたらします

徳子がびわの手を握る

円城寺
円城寺
この時も、祇王がびわの手を握った演出と対になっていますね

出家した祇王の元に駆け付けるびわだが、祇王が阿修羅になる前に出家して、心やすらかに暮らしている様子を見て、安心して帰路につく。その途中、すれ違った女性が気になったびわは、未来視の眼で女性を見る。

円城寺
円城寺
それが落飾した仏御前だったんですね。祇王と仏御前が尼になって、一緒に心穏やかに暮らしている未来を見て、びわは楽しくなって帰ります

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徳子入内

隙間の構図

オペレーター
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びわは、重盛に祇王と仏御前の様子を徳子にも伝えたいと言いますが、重盛は徳子の入内の話をします
円城寺
円城寺
こういうキャラを端に寄せた構図がポイントで使われますね
風雅
風雅
キャラの心情を表わす場合と、情勢の変化を表わす場合が多いようですね

いとこ同士

高倉天皇は、後白河法皇と平滋子の間に出来た子供である

平徳子は、平清盛と平時子の間に出来た子供である

平時子と平滋子は異母姉妹である

オペレーター
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という事で、高倉天皇と平徳子は、母方の”いとこ”になります
円城寺
円城寺
母親同士が姉妹で、そこの関係が上手く行っている間は、二人の関係は安泰という事ですね

平滋子は、平家と後白河法皇の間を取り持つ、緩衝材・調整弁的な存在であった

不吉な未来(さき)

オペレーター
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しかし、不吉な未来が視えるびわは、必死に徳子を止めようとします
ひとみん
ひとみん
ここのシーンも切ないなア
風雅
風雅
必ずしも最初から破綻している訳でなく、徐々に歯車が狂って、悲劇的になっていく展開ですからね

鳥の飛び立つ音に驚く維盛

円城寺
円城寺
もう一つ印象的だったのが、六波羅に行くびわに縋る維盛が飛び立つ鳥に驚くシーンですね
ひとみん
ひとみん
草食系維盛、すっかり、かまってちゃんポジション
ドロシー
ドロシー
それもあるけど、このエピソードって、富士川の戦いの伏線よね

このエピソードは富士川の戦いの伏線か

風雅
風雅
そうでしょうね。段々維盛が頼りなくなっていく
オペレーター
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平家没落の原因は幾つかあると思われますが、この2話では、以下の三つが示唆されました

不安定化する重盛の地位

緊張感が増す平家と後白河法皇の権力闘争

維盛の軟弱さ

円城寺
円城寺
徐々に胸が締め付けられることが、多い展開になりそうですね
ひとみん
ひとみん
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【考察】アニメ「平家物語」第3話 ネタバレ感想 平重盛が失脚テレビアニメ「平家物語」第3話「鹿ヶ谷の陰謀」の考察です。3話の範囲は、2話の終わり、徳子の入内(1171年)から、足掛け6年後の徳子の懐妊祈願が厳島神社で行われるシーンから「鹿ヶ谷の陰謀(ししがたにのいんぼう)」(1177年)で、冒頭の重盛のセリフが出るまでです。このセリフは戦前は超有名でした。全体的に”「平家物語」を知っている事”前提で、ストーリーが展開されますので、補足しながら考察、レビューします。...

 

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