忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず。
私の進退はここに谷(きわ)まりました。
清盛の瞳に映る重盛
3話の範囲は、2話の終わり、徳子の入内(1171年)から、約6年後の徳子の懐妊祈願が厳島神社で行われるシーンから「鹿ヶ谷の陰謀(ししがたにのいんぼう)」(1177年)で、冒頭の重盛のセリフが出るまでです。このセリフは戦前は超有名でした。
厳島神社
富と武力の象徴
(清盛)『武力と富』このどちらをも手にした平家はさらに栄華を極めるであろう
※厳島の通称が宮島です
平宗盛
(宗盛)されど、武士が武芸で無く、美しさを称えられるのはどうかと思いますがな
(びわ)宗盛いやな感じだの
(維盛)お、ああ。宗盛殿はおじい様のご次男であられるが、時子様のご長男だから、父上の事が少し鬱陶しいのかもしれないね
維盛・資盛・清経・びわ
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徳子の悲哀
変わらない「びわ」
庭先でびわが、琵琶を演奏しているところに徳子が訪れる。元気そうな徳子を見て喜ぶびわ。
(徳子)びわも変わり無さそう。不思議なくらい・・・
徳子は重盛に用があったが会えず、後白河法皇の訪問に備えて、重盛に逢えないまま帰宅するという
資盛の恋心
資盛は、徳子の女御「建礼門院右京大夫(エンディングクレジットに沿ってこのキャラ名で統一します)」に恋心を抱いているのであった。
資盛が着替えの為に、場面から退場した後、不在になって中心が左にズレた分、カメラが左にパンして、徳子とびわに視線を誘導して、徳子が資盛の恋心に関する内緒話をびわにするシーンが手の込んだ演出。
徳子・びわ
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滋子亡き影響
徳子、建礼門院右京大夫、資盛、びわの4人の会話な中で、滋子が亡くなっている事が語られる。
ここで覇気を無くしている高倉天皇が登場し、小督局に逢うため(後白河法皇を避けるため)に出掛ける。
2話の時点では、
(後白河法皇)滋子~。あ奴、元服が決まってから本当に生意気になりおって~
(平滋子)あの位、はっきり物が言える方が頼もしいではありませんか
と言う評価を受けていたが、その面影なし。事実上の後見人である滋子を失くし、支えてくれるモノが無くなった不安定さが滲み出る。
徳子は感情を面に出さないが、後白河法皇と資盛が歌う今様の歌の内容、女御の建礼門院右京大夫の表情やクロスカッティングされる高倉天皇と小督局のシーンなどで、寂しい思いをする徳子の悲哀が表現される。
<資盛たちが歌った歌>
恋ひ恋ひて邂逅に逢ひて寝たる夜の夢は如何見る
さしさしきしとたくとこそみれ
(解釈)
恋しくて恋しくて、長い間、恋焦がれた愛しいあなたと逢えた夜は、二人でどんな夢を見れるのでしょう。
きっと二人で腕を交し、きしっと音がする位抱きしめ合ってこそ見れるのでしょう
※因みに、小督局を高倉天皇に引き合わせたのは徳子だと言われている
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陰謀の予兆
白山事件
白山とは
白山信仰に基づく寺社の連合組織です。七宮(七つの神社)と八つの寺で構成されていました。延暦寺は親分格で総本山?でした。
延暦寺側は、師経だけでなく、兄の師高についても処分を求めた。師高・師経の兄弟は、後白河法皇の側近である西光の息子であり、院側に拒絶されると、延暦寺の大衆たちは、神輿を奉じて内裏へ押し寄せる。そして、重盛に内裏を護る為の出陣命令が下る。
この当時の価値観で、神輿が特別であることの意と、武家のイメージとして、血色の赤が用いられたか。重盛は配下の武士たちに神輿を射る事のないように指示するが乱戦の中で、命令は守られなかった。
延暦寺攻撃計画
<院側が延暦寺の要求を受け入れる>
- 神輿を射た重盛の郎党たちの投獄
- 師高を流罪にする
<院と延暦寺の全面対決>
- 後白河法皇、5月4日に天台座主明雲の逮捕を検非違使に命じる
これは西光の讒奏があったという説もある
- 護送中の明雲を延暦寺の大衆が奪還。延暦寺に連れ帰る
延暦寺によって院宣が公然と覆される
- 後白河法皇、平家に延暦寺追討を命じる
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ちなみにこの間、「太郎焼亡」と呼ばれる安元の大火事が発生する
この火事で重盛の屋敷も焼ける
鹿ケ谷の陰謀
陰謀発覚
鹿ヶ谷の陰謀については、酒席の戯言を、清盛が延暦寺攻撃を回避するために大袈裟に取り上げたでっちあげ説から、後白河法皇が目の上のタンコブの延暦寺と平家を嚙合わせて漁夫の利を狙ったという説まで色々あります。
清盛は院側近の西光、藤原成親などを捕らえる
平重盛、失脚のワケ
元々、後白河院と平家の中を取り持っていたのは平滋子であった。平滋子亡きあと、重盛はその役割を藤原成親に期待した。それが反逆の首謀者となったので、重盛の面目は丸つぶれ。人を見る目も調整力も無いとゆう結果になった
但し、これは平家全体にとっても由々しき事態。清盛時代の優秀な家臣団は重盛に譲られており、今更引き剝がすのはムリ。重盛の一門(小松一門と言う)が離反したら一大事で、今後の平家内のさじ加減が難しくなる
清盛と重盛
院側近捕縛、法皇捕縛準備の報を受けた重盛は兵を集めて、清盛の元に向います
焼失した後の庭か。重盛が出た後、荒涼とする庭にびわは何を見るのか
残った、維盛は不安を口にする
(維盛)私は、怖い。もう、今までのような日々は終わったのだ。きっと変わる。全てが変わってしまう。
平和だった頃の3兄弟
(びわ)重盛!重盛、一緒に帰ろう!
(重盛)今はダメだ
(びわ)だったら一緒に行く!
(重盛)ダメだ
(びわ)ダメじゃない!
(重盛)余計な事をするのではないよ。
(びわ)おとうもそう言った・・・言って・・・
重盛は清盛を諭そうとするが、清盛は聴く耳を持たない。重盛は武力に訴えてでも留めると説得します
御簾が分かつ父と息子
(重盛)しかしながら、今私が法皇様に忠を尽くせば親の恩に背く事になります。
忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず。私の進退はここに谷(きわ)まりました。父上、ここを動かれるのならば、私の首刎ねてからにして下さい!
重盛、最大の見せ場