オペレーター
テレビアニメ「平家物語」第6話「都遷り」の考察です。今回は、平家物語の五巻部分、福原遷都から、富士川の戦いまでが描かれました
円城寺
いよいよ源平の争乱(治承・寿永の乱)が始まります。新キャラで注目は平敦盛。織田信長の幸若舞「人間五十年~」で有名ですね。そして、今まで悪役で描かれることが多かった、平清盛ですが、その心情や主義主張を吐露するシーンが二つあります。平清盛の立ち位置で見るとまた違う景色が見える事が示唆されます。新キャラでは源頼朝も登場しますが、コミカルなキャラ付けになっています。劇伴も含めて、シリアス一辺倒にならない軽さを混ぜる工夫が感じられるエピソードです
見どころ
平敦盛の登場
平清盛の主義主張
コミカルな源頼朝や劇伴で悲劇に軽妙さをプラス
都遷り
平敦盛
オペレーター
冒頭、京から福原への都の引っ越し、遷都が描かれます
円城寺
急な事なので、京にある屋敷を解体して、木材を福原に運んで組み立てるという引っ越しだった事が描かれてましたね。そして資盛・清経・びわの3人は、福原の浜辺で平敦盛に声をかけられます
ひとみん
敦盛は清盛の弟の子供なんだね。笛の名手で、同じく笛で有名な清経と近づきになりたかったみたい
月見(重盛一門)
平敦盛は、戦に興味津々で、平治の乱で重盛が言った「元号は平治、都は平安、我らは平氏ならば、敵を平らげよう」と言った話に心を踊らされたと言う。
平重衡も加わって3人で風流な笛の競演
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病に伏せる上皇
ドロシー
御所の狭さに不満を言った後、なんか不吉な事言っていたわね
(後白河法皇)ま、そう長くはないと思えば、牢の御所も一興かもしれん
オペレーター
そして、病に伏せる高倉上皇を看病する平徳子のシーンに場面は変わります
円城寺
そこで高倉上皇は平徳子に対して心中を吐露するんですね
(高倉上皇)年端も行かぬ私と一緒になって以来、そなたの方には気を遣わせてばかりであるな。そなたは美しく賢く憧れの従姉であった。それに引き換え世を知らぬ何も出来ぬ自分が恥ずかしかった。そなたには感謝しておるのだ。
少しは心が安らいだか
平清盛の孫にあたる安徳天皇が天皇位を継いだからといって、高倉上皇が崩御すると平家は大ピンチである。幼い安徳天皇が政務を見れる訳はなく、治天(朝廷のトップ)は再び後白河法皇に移り、院政の再開となる。
清盛の志と風前の灯
モノノケ
オペレーター
清盛が夜な夜なモノノケに悩まされるシーンがありました
ツン&オラ資盛
オペレーター
清盛はモノノケを鎮めてもらおうと、寝所で、びわに琵琶の演奏を依頼しますが、心配した資盛が維盛を伴って、同行します
2話のアバンでびわに手を出そうとした清盛。重盛に断られて、時子に怒られた。
【考察】アニメ「平家物語」第2話 ネタバレ感想 表情を見せない演出テレビアニメ「平家物語」第2話「娑婆の栄華は夢のゆめ」の考察です。第2話は祇王に関するエピソードと、徳子の入内に関するエピソードが中心です。...
ドロシー
資盛って、普段はツン&オラだけど、根の優しさが隠せないね
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清盛の正義
<重盛について>
重盛もこの音を聴いておったのだな。面白うも無い男であったが、あ奴だけはワシにも臆さずモノを申しておった。まだまだこれからという時に・・・
<世の中について>
カネが無いのに使うばかりで手を打たず、各地で反乱が起こってもおさめる事も出来ず、何も出来ぬ貴族と偉そうにするばかりの坊主が支配する、身分と権威が全ての世を我らは変えた。息苦しい世界に風穴を開けたのだ。富と武力でな。
何かを大きく変える時には反するものも出よう、変わるのを良しとせぬものもおろう。だからこそ我ら平家一門力を合わせねばならん。この新しい都で、開いた港で我らはさらに富を築く。その富で武力も蓄える。さすれば我らの世は続くのだ。
ドロシー
清盛には清盛の正義があるってところね。「身分と権威が全ての世を我らは変えた。」ここは良いんだけど、富と武力を一門で独占したのがダメよね。後、武士が望む仕組みに変えなかったのも根本的にダメなところね
円城寺
3話の時にドロシーが、『清盛のやっている事は、藤原氏のコピーで革命になっていない』、って批判したけど、目的はいいけど、手段がねえ~というところでしょうか
【考察】アニメ「平家物語」第3話 ネタバレ感想 平重盛が失脚テレビアニメ「平家物語」第3話「鹿ヶ谷の陰謀」の考察です。3話の範囲は、2話の終わり、徳子の入内(1171年)から、足掛け6年後の徳子の懐妊祈願が厳島神社で行われるシーンから「鹿ヶ谷の陰謀(ししがたにのいんぼう)」(1177年)で、冒頭の重盛のセリフが出るまでです。このセリフは戦前は超有名でした。全体的に”「平家物語」を知っている事”前提で、ストーリーが展開されますので、補足しながら考察、レビューします。...
福原遷都の目的
既得権益でがんじがらめになっている古い都を破棄して、新しい都で身分や権威に縛られない世の中を創る
既得権益者(寺社や貴族)からは強い反発が出る
平家家人の統率化に反発
オペレーター
地方では、在地の有力武士たちが兵士の動員権限を平家の家人に奪われる事態が相次ぎました。平家家人に圧迫されて、その下に組織されることに反発した地方の武士たちは反平家色を濃くしていきます
円城寺
これが源頼朝の下に多くの勢力が集結する事態を招きます
ひとみん
一方の源頼朝は、「ご恩と奉公」でしっかりと武士たちの気持ちを鷲掴みにする。この辺りのコントラストは鎌倉殿の13人でよくわかる
※「御恩と奉公」で武士の欲求に応える頼朝は「鎌倉殿の13人」第4話
【鎌倉殿の13人】感想・解説・考察 第4話NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第4話、「矢のゆくえ」の感想解説です。頼朝の挙兵事情から、「ご恩と奉公」のベースを解説。八重と義時の恋愛事情はネタバレ込み、伊東家の凄惨な家系図込みで考察します。...
平家とは、伊勢平氏のうち、平正盛の系統(六波羅家)をいう。
平氏は”平”姓を下賜されたものの末裔(実態は自称も多い)全般
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頼朝挙兵
文覚の熱量
オペレーター
風前の灯火のあと、場面は切り替わって、文覚が熱心に源頼朝を説得するシーンとなります
父源義朝の頭蓋骨と称するモノを見せられるが、疑い深く見る頼朝
ドロシー
貴種の威厳とか無しに、疑い深いけど、軽さもあるって感じね
頼朝は平家と異なり、一門以外の武士も取り立てるという
風雅
でも、源氏も結局、頼朝の子供の代(頼家・実朝)で終わっている事に注意が必要です
ドロシー
結局、源平は揃って早期に滅んでるって事ね。地方の武士からすると仕組みだけ作ってくれたら後は要らないって感じね
其の辺りは、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で詳しくやるか
オペレーター
慎重でウンと言わない頼朝に、文覚は、後白河法皇の院宣を見せます
頼朝に迫る文覚
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地団駄を踏む清盛
円城寺
そして周囲が止めるのも聞かずに追討軍の総大将を平維盛にします
表向きの理由は、維盛の年齢の時には重盛は活躍していた。だから、大丈夫。でも、本当の理由は・・・
風雅
石橋山の戦いから、一か月余りで頼朝は関東を席巻してしまいます。平家でなくとも、さすがにこれだけの速さで頼朝が大勢力になる事は予想できなかったでしょう
頼朝が短期間で大勢力になった詳細はこちら
【鎌倉殿の13人】感想 第7話 上総広常が味方をした本当の理由NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第7話、「敵か、あるいは」の感想解説です。源頼朝はなぜ一か月あまりの間に再起して、関東の支配者として君臨できたのか?上総広常を通してそのヒミツに迫ります。...
富士川の戦い
富士川
オペレーター
富士川に着陣した維盛率いる平家軍ですが、維盛は侍大将の忠清とは意思疎通がうまく出来ず、不安いっぱいのようです
平家軍は7万。対岸には源氏の大軍20万が着陣。そして信濃・甲斐の源氏方が、駿河の目代を破って制圧しており、いつ退路を囲むか分からない状態。
赤と蝶の平家の陣
円城寺
そして水鳥の羽音で、大群が攻めてきたと驚いた平家軍は戦わずして敗走します
ドロシー
2話に伏線っぽいのがあったけど、驚いて逃げたのは兵士だったから内容的には連動してなかったわね
風雅
鳥に驚く維盛ですね。また、5話で強調されていたベトナム帰還兵のような状態も、あまり連動してなかったですね
平家の敗因
風雅
違います。基本的には時流ですが、戦術的には忠清の責任ですね。忠清の進言で出陣が遅れたのですよ。忠清自身がそのことを後悔しているところが平家物語にあります。その間に、大庭氏とか関東の平家側が殲滅してしまって、源氏側に沢山兵が集まりました。また、忠清は関東に領地を持っていたのですが、かなり横暴な事をして関東土着の武士(上総広常など)に嫌われてました。それらが重なって戦う前から勝負はついていた状態です。総大将が誰でも勝てなかったと思います
勝ちに不思議の勝ちアリ
富士川の戦いは、平家と武田の戦い!?
「聖徳太子は実在していなかった」などと同じで、インパクト狙いのあまり意味のある説ではありません。
ドロシー
まあ、取りよう言いようって感じね。実際には上総広常とか、富士川の戦いで因縁の次兄印東常茂を討ち取っていると伝えられているから、事実なら武田家だけというのは印象操作な感じもするわね
維盛を総大将にした理由
流罪
オペレーター
戦わずして、逃げて帰った維盛と忠清に対して清盛は怒り狂います
維盛をば鬼界(きかい)が島へ流すべし。
(清盛)重盛が亡くなり、後ろ盾が居無くなったそなたにワシは手柄を上げさせたかった。だから総大将にしたのだ!
円城寺
総大将にした本当の理由はコレだったのですね。重盛一門の処遇に悩んでいるのがよく分かりますね
風雅
維盛に手柄を立てさせて出世させたい、というのは、清盛の一存というより平家一門の総意のようなところがあるみたいですね。維盛は、この後、「墨俣の戦い」などで武功を上げて参議にまで出世します
逸る平敦盛
オペレーター
維盛の失態に落ち込む清経ですが、敦盛は滾る思いがあるようです
(平清経)流罪は免れましたが、我が兄乍ら恥ずかしい限りで
(平敦盛)なんの!我らが戦に出る時がきましたら、雄々しく潔く戦いましょうぞ!
闘わねばならぬのだ
オペレーター
ネコを追いかけて浜辺にきたびわはそこで必死に松枝に刀を振う維盛を見ます
(平維盛)怖かった・・・あのような数の兵が攻めてくると思うと怖かった。
円城寺
また、維盛の舞が観たいというびわに維盛は、必死の形相で追い詰められた思いを口にします
(平維盛)舞など。都は変わった。私も変わらねば闘うのだ。戦わねばならぬのだ
ヘビーになり過ぎないように
コミカルさ・軽さ
風雅
良く出来ていたと思います。特に3点。一つは、平家物語は悲劇ですが、あまりヘビーにならないように軽さを散りばめて来ました。源頼朝のキャラもそうですし、富士川での維盛と斎藤別当実盛の会話の時の劇伴なども深刻になり過ぎないように調整してましたね。二つ目は、原作や史実との距離感もいい感じになっていました。三つ目として、清盛にも主義主張の機会を与えたのもフェアで良かったと思います
円城寺
5話でやり過ぎ感があった維盛と徳子の描写も、原作や史実から離れ過ぎないように落ち着かせてましたね
ドロシー
5話の維盛はベトナム帰還兵みたいだったもんね。さすがにあの時点であそこまで行ったら、その後どうするんだろうって心配したわ
【考察】アニメ「平家物語」7話 「清盛、死す」ネタバレ感想レビュー テレビアニメ「平家物語」第7話「清盛、死す」の考察です。今回は、平家物語巻の六部分、南都炎上(これは巻の五)から、高倉上皇崩御と、平清盛の死までが描かれました。そして、びわが平家を追い出されますが、それは資盛の深い思いやりによるものでした。...