オペレーター
テレビアニメ「平家物語」第8話の予習編です。8話で木曽義仲がいきなり登場しますので、木曽義仲について、出自、台頭してきた背景などをご紹介。また、平家が関東ではなく、北陸に遠征した理由及び維盛が総大将になった理由を、当時の平家の置かれた状況から読み解きます
木曽義仲とは何者?
頼朝の父方の従弟
円城寺
木曽義仲ですが、血筋で言えば、源頼朝の父の弟の子供、父方の従弟になります
ドロシー
但し、ここの親兄弟は保元の乱まで、壮絶な戦いをするので、木曽義仲の父親の義賢は、頼朝の兄義平に「大蔵合戦」で打ち取られるのね
幼い、義仲は、斎藤実盛(当時義賢の味方、俱利伽羅峠の戦い時は平家方)の助けで木曽に逃がされる。
オペレーター
義仲自体は頼朝と違い、親兄弟を平家に討たれたわけでは無いので、平家に私怨が有る訳ではありません
それと頼朝と違い流人(罪人)ではなく、比較的自由だったと推察される。
ひとみん
寧ろ、頼朝の親兄弟が親の仇!頼朝の親兄弟は平家に滅ぼされていたけど
木曽義仲は、源頼朝の従弟。但し、父親同士は争っていた
挙兵の経緯
オペレーター
そんな木曽義仲ですが、挙兵の経緯は源頼朝と同じ以仁王の令旨でした
挙兵のきっかけは、源行家が持ってきた以仁王の令旨(頼朝と同じ)
円城寺
でも頼朝みたいにいきなり挙兵したわけでは無く、平家勢力に攻められた源氏方の勢力に援軍を要請された事だと言われています(「市原合戦」)
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「市原合戦」で撃退した平家側の笠原氏が越後に逃げ込み、越後平氏の城氏が義仲討伐に信濃に攻めてくる。その決戦「横田河原の戦い」で勝利した木曽義仲は信濃のみならず、越後も手に入れて、北信越で一大勢力に膨れ上がる。
頼朝とはライバル関係
源頼朝は、北関東の平家側、反頼朝勢力をほぼ掃討して、関東を勢力下に収めているが、背後に奥州藤原氏がいて迂闊には動けない。同じ源氏でも血筋的に武田信義は数段落ちるが、木曽義仲は、源義家の血筋であり、その父義賢も北関東に勢力を持っていた関係で、最大のライバルであった。
円城寺
血筋的なライバルと言う以外にも、頼朝と闘った叔父の志田義広や、勝手な行動をして自分を出し抜こうとする源行家などが木曾義仲のもとにいて、目障りな存在でした
志田義広
頼朝の叔父で常陸(茨城県)で勢力を持っていたが、頼朝の挙兵には加わらず静観。鎌倉が手薄なタイミングを見て反頼朝の兵を挙げる。頼朝軍と戦うが敗れる(野木宮合戦)。志田義広は、そのまま木曽義仲の元に逃げ込む。
源行家
尾張・三河(愛知県)で勢力を築くが、墨俣川の戦いで平家軍に敗れる。その戦いで、頼朝の弟義円が敗死。鎌倉まで逃げ、頼朝に助力を求めるが、追い返され、義仲の元に身を寄せる。
ひとみん
ここで小賢しい武田信義が、木曽義仲を味方にしようと工作しますが、断られると「木曾義仲が平家と組もうとしている」というウワサを頼朝の耳に入れて頼朝と義仲の対立を煽る
武田は木曽義仲と手を組んで頼朝に対抗しようとしたが、袖にされて対立を煽ろうとする
頼朝は武田の言う事を信じたわけでは無いと思われるが、それを口実に木曽義仲に圧力をかける。頼朝から圧力を掛けられた木曾義仲は、嫡男の義高を人質に出して一時的な和睦をする
- 木曽義仲は信濃と越後をほぼ勢力に収めていた
- 叔父の志田義広や源行家などが義仲の勢力下にいた
- 義仲は武田信義の誘いを断り讒言を受けていた
- 人質として嫡男義高を頼朝に差し出していた
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平家の事情
富士川の戦い敗北の影響
オペレーター
一方、平家は治承三年の政変で在地領主の既得権に切り込み、反感をかった上に、富士川の戦いの敗北の影響で「平家恐るるに足らず。」の雰囲気になり各所で反乱が起こる状態となっていました
円城寺
その反乱への対処ですが、遠方への遠征は重盛の一門(小松一門)が派遣されることが多くなっていました
ドロシー
主流から外れちゃったから、前線とか大変な役割を押し付けられることになったのね
九州や東国など前線に飛ばされることが多くなった重盛一門(小松一門)
なぜ北陸?
平家の食料は主に北陸道を通って、供給されていた。
ドロシー
それが米どころの越後迄木曾義仲に獲られて、その奪回が最優先だったわけね
食料の確保が主目的。木曽義仲討伐は後世の後付けの可能性あり
風雅
それに先ほどの地図の通り、地理的に平家から見ると、木曽義仲や、武田信義を排除しない限り、頼朝にはたどり着けないですしね
ドロシー
木曽義仲や、武田信義を放置すると背後を襲われる可能性もあるしね
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混成軍だった平家軍
オペレーター
平家は一度北陸に出兵していますが、反乱軍に追い返されています。それも有り、大軍勢での遠征となりました
円城寺
遠征中の兵を除く、全軍をかき集めた大軍勢の為、重盛一門(小松一門)だけでなく、主流派の武将も参陣しました
オペレーター
アニメでは平家の北陸遠征軍の意志は統一されているような描写ですが、「玉葉」には、維盛たち重盛一門(小松一門)と宗盛の家人の侍大将たちとの間に確執があり、統制がとれていなかったのが敗因と記されています
ひとみん
バラバラだったんだ。主流派と傍流の間で意思疎通が難しかったんだね