オペレーター
怖い物見たさのお化け屋敷感覚で放送された、テレビアニメ「ルパン三世part6」の第10話 「ダーウィンの鳥」の感想レビューです。
風雅
ルパン三世と言うコンテンツの懐の深さを感じさせるエピソードでした
ルパン三世を虚構にしたかった?
冒頭と終盤の違い
オペレーター
解釈は様々ですが、一応、終盤以外の部分は、ルシファーが不二子に見せた幻想(虚構)という整理にしました
エピソードの大部分は、ルシファーが不二子に警告目的で見せた幻想(虚構)
コートを脱いでいる峰不二子。こちらは虚構
©モンキー・パンチ/TMS・NTV
オペレーター
では、同じようなシーンである冒頭部分と終盤部分の違いを整理してみましょう
外形上の違い
雪が降っているかいないか
不二子がコートを着ているかいないか
コートを着ている峰不二子。こちらは現実
©モンキー・パンチ/TMS・NTV
内容上の違い
不二子が依頼を受けるか断るか
ルパン三世がいるかいないか
ルパン三世を虚構にしたい押井
ドロシー
虚構の世界にはルパンを登場させて、現実の世界には登場させ無かった訳ね
円城寺
やっぱりどうしてもルパンは虚構の存在にしたかったんですかね?
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ドロシー
オープニング映像を考察した1話の時に、ガラスや水面に写る演出は何か?って議論したけど、こういう意味だったのね
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ダーウィンの鳥
始祖鳥の化石
ひとみん
ミハエルが不二子にした話の内容がよく分からなかった
1859年 | ダーウィンが「種の起源」を発表 |
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1860年 | 最初の始祖鳥化石採掘(羽根の痕跡) |
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1861年 | ロンドン標本(最初の始祖鳥骨格標本)採掘 |
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1877年 | ベルリン標本採掘 |
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ミハエルはこれらが捏造である事を暗示する
- 「種の起源」発表の翌年から都合よく化石が採掘され出した
- ロンドン標本もベルリン標本も高値で博物館が購入したが、売主は親子(カール・ヘーベルライン、エルンストン・ヘーベルライン)である
- 当時、採掘現場には偽造職人の組合も存在した
円城寺
つまり発見されて欲しい時に、都合よく発見された、「偶然と必然」があまりに出来過ぎているってことですね。加えて関係者が大金を手にしているので胡散臭い事この上ないという点には不二子も同意していました
これをミハエルは、『証拠と証明の順番を変えた』と評しました。
ダーウィンの鳥は孤立している
オペレーター
そして実例として『アーケオラプトル贋作騒動』を挙げます
アーケオラプトル贋作騒動
1995年に中国で発見された『羽毛恐竜』の化石とされたものが、実は二つの化石を組み合わせた合成化石であった事が判明した騒動
結果、始祖鳥から先が進化のミッシングリングとして、始祖鳥が孤立している
また、実例として出てきたピルトダウン事件はこちらです
始祖鳥の化石がフェイク、「虚構」であることを印象付けるシーンです
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大英自然史博物館について
オペレーター
次いで、周辺知識として大英自然史博物館について補足します
不二子が観ていた白い彫像は、チャールズ・ダーウィンの彫像です。
©モンキー・パンチ/TMS・NTV
円城寺
また大英自然史博物館では、珍鳥標本盗難事件と言う事件がありました
ミハエルの要求
オペレーター
ミハエルの要求は展示されているレプリカではなく収蔵庫に保管されているホンモノを盗む事です
ミハエルが言っている事
- 手段は問わない
- 化石の真贋は問題ではない
- 化石は妄想の結晶
- 化石の美しさは尋常ならざるもの
円城寺
ここが一つの謎ですね。ニセモノだと言いながら、それを欲しいと?
「天使の化石」
虚構の象徴
円城寺
で、ミハエルの欲しいものが、始祖鳥の化石ではなく、天使の化石だったというオチですね
オペレーター
押井作品では虚構の象徴として度々登場する「天使の化石」ですが、今回は、ルシファーの化石でした
©モンキー・パンチ/TMS・NTV
進化論 = 考古学者によるでっち上げ(始祖鳥もニセモノ):虚構
天地創造論 = ホンモノ:現実
円城寺
一般的には天地創造論が虚構で、進化論がホンモノって考え勝ちですもんね
ドロシー
しかも、始祖鳥のでっち上げに使われた(元ネタになったのが)のが、天使の化石というところが皮肉が効いているわね
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二つの脚本
オペレーター
製作側から依頼されたのは一つの脚本でしたが、押井側からは二つの脚本が提出されたようです
ドロシー
押井守にすれば「どっちを期待していますか?どっちでも好きな方を」って事かな?
もひとつの押井作品
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円城寺
片方はエンタメ色が強くって、片方は観念的だからそうなんでしょうね
絵コンテは押井塾
オペレーター
そして本エピソードの絵コンテは、押井塾出身、元IGの荒川 眞嗣でした
風雅
元々過去のルパン三世でも何度か原画など担当している人ですが、押井作品の為か、押井系のエッセンスが感じられる絵コンテでしたね
©モンキー・パンチ/TMS・NTV
押井守は脚本だけだが、絵コンテに押井塾の教え子が入る事で、絵も押井調になる
際立つルパン三世の懐の深さ
オペレーター
これでゲスト脚本家によるエピソードも終了となります
円城寺
全体を通してみると、やはり誰が書いてもルパンだなって感じですね
風雅
軽い洒脱な面に、part4や5で深夜アニメらしいディープさを加味されましたが、再び原点に戻ってきた感じがありますね
大人の自由人、ルパンファミリーはどんな作風も受け入れる懐の深さがある
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