オペレーター
カワイイ動物のキャラを使いながらディープな社会を描く社会派アニメ「オッドタクシー」。群像劇でもあり、通常の全話振り返りを行うと、整理が難しいので、キャラ別に振り返りを行いたいと思います。今回は、偽三矢ユキこと、和田垣さくらにフォーカスします
円城寺
キャラ別も4つめの記事なんですが、”4”という縁起の悪い数字が一番似合うのは、このキャラかな、と思います
もくじ
和田垣さくらとは
出典:公式HPオッドタクシー第5話「アイドルなんて呼ばないで」無料配布場面写真(https://oddtaxi.jp/news/202105161800)より
和田垣さくら
失踪した三矢ユキの後釜としてアイドルグループ「ミステリーキッス」のメンバーとなる。18歳。大分出身。母子家庭に育つ。唐揚げが好物。事務所からの指示で、三矢ユキに成りすますためにアイドル活動中は仮面を被って、「三矢ユキ」を名乗る
仮面のアイドル、偽三矢
偽三矢として登場
- STEP01第2話イベント後、売れ残ったグッズの手売りをマネージャに依頼される。二階堂ルイが特別扱いて手売りを免除されることに不満をもらす。市村しほにもタメ口で注意されるがまったく動じない
- STEP02第5話田中に依頼されて、小戸川のタクシーにスマホを仕込む。
- STEP03第11話(回想)失踪した三矢ユキの代わりにミステリーキッスのメンバーに採用される。二階堂ルイとの会話で、以前のオーディションで失格後、マネージャに食い下がった事があったと言う。但し、メンバー入り後もダンスレッスン中に転倒したり、真三矢と比べると実力はかなり劣る
- STEP04第13話一連の事件ご、母親と電話中に小戸川のタクシーを見つけて乗り込む。
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オペレーター
あまり登場回数の多くない和田垣さくらですが、少ない登場の中でも、濃いキャラが出ています
円城寺
偽三矢(和田垣さくら)については、登場するキャラの中で、市村しほが一番言及していますので彼女の評価を確認しましょう
市村しほの偽三矢(和田垣さくら)評
- 自己肯定が出来ているのヤバイ
- 前の方(真三矢)が良かった
ひとみん
その他、今井からは、「以前よりダンスのキレが悪くなった」と言われている。これは、真三矢に比べてダンスのキレが悪いということね
「自己肯定」ではない
オペレーター
それでは少ない登場場面から、和田垣さくらの人間性について考察してみましょう
”ヤバイ”の意味
ドロシー
市村しほが、偽三矢(和田垣さくら)に対して、「自己肯定が出来ているのヤバイ」と言った意味は、「その程度で自分を高く評価しているのはおかしい」という事よね?
ひとみん
ぶっちゃけて言うとそうかな
円城寺
普通、自己肯定の高い人は、自分軸を持っていますが、 自他を客観的理性的にみることが出来ますからね。偽三矢(和田垣さくら)の場合は、自己肯定というより自己中心かな
風雅
そう思うと、市村しほに対して、偽三矢が言った「ボキャブラリーがヤバい」は、当たっているのかなあ
ドロシー
偽三矢(和田垣さくら)は、11話の回想で、ダンスレッスン中に転倒したり、2話でも今井に「ダンスのキレが悪い」と言われている程度の実力なのに、5話で山本に「自主練しろ」って言われて、あからさまに不満の態度を示したり、努力して向上しようという部分が欠けているのよね。どう見ても自分の現状を客観的理性的に見ているとは思えないわ
二階堂ルイとの差
二階堂ルイ
→人一倍の向上心に見合う努力をする
和田垣さくら
→人一倍の努力を厭う
ヤバイのは、自他を客観的理性的にみることが出来ていないから
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自分軸が無い、ただの自己中心
ドロシー
11話の回想シーンで、「二階堂ルイがいるから売れる」って言ってる割に、グッズの手売りで二階堂ルイが特別扱いされると不満タラタラなのよ
ひとみん
コバンザメ(二階堂ルイに乗っかろうとする)を自覚しているのに
円城寺
二階堂ルイと自分には差があると認めているのに、待遇や練習量に差が出ると納得が出来ないんですね。これでは自分軸が有るとはいえませんね
偽三矢(和田垣さくら)の場合、「自己肯定」というより、「自己中心・自己愛」の類
著しく自己中心的に振る舞う傾向がある
欠けているもの
いとも簡単に犯罪に手を貸す
オペレーター
次に偽三矢(和田垣さくら)に欠けているものを確認します
ひとみん
まず、罪悪感や倫理観。軽いノリで、田中の犯罪行為に加担する
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円城寺
上記記事で、偽三矢(和田垣さくら)は、どこか善悪のネジが外れてしまっている感がありますよね
苦悩する二階堂ルイと対照的
オペレーター
事件の後、二階堂ルイは不安に苛まれます
事件後の二階堂ルイの状況
呼吸が荒くなり、動悸が激しくなり、汗が止まらなくなり、手が震える。泣き叫びたくなり、気が狂いそうになる
風雅
これは罪悪感と共に、悪事がバレる事への恐怖ですよね
ドロシー
偽三矢(和田垣さくら)は、こういった描写は一切なくて、自分の行為を肯定しているだけでなく、事件がバレる恐怖感も無い、という事よね
他者に対する「愛情」「思いやり」などの感情が極めて乏しい
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余談:此元和津也との類似点がある!?
オペレーター
11話及び13話で、偽三矢(和田垣さくら)は、オーディションに対して不満が有る事を告白しています
ドロシー
審査に不満があるってホモサピエンスの柴垣も同じ様な事言ってたよね
風雅
「何で俺よりレベルの低い奴に審査されなあかんねん」ですか?
ひとみん
”〇垣”繋がりだ
オペレーター
実は脚本の此元和津也も、担当編集者との対談で、自身の作品の審査に対して不満を述べています
2作目の短編『ダミー』が『コミックバーズ』主催の幻冬舎コミックス新人漫画賞と審査員特別賞を受賞した事に対するコメント
大賞じゃないのか、とか審査員の方の講評にイライラしてたんですけど、今読み返すと「まあ、確かに」と思いますね。
短編集「テリトリー」アラウンド・ザ・テリトリーより
円城寺
審査に対する不満が鬱積していて、それをキャラに代弁させているのでしょうか?
ドロシー
作者が自己投影するキャラがいても不思議じゃないわ。”〇垣”というネーミングのキャラは、審査員に対する作者の不満を代弁させるキャラかもしれないわよ
風雅
「なろう」じゃあるまいし、それは流石に無いとは思いますが、この後のオチが面白いですね、この対談は。興味がある方は読まれてはいかがでしょうか
担当編集者との対談は、ボケとツッコミが絶妙で読んでいて面白いです
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サイコパスか、ソシオパスか
パーソナル考察
オペレーター
和田垣さくらのパーソナルを整理してみました
和田垣さくらのパーソナル
- 目的の為には手段を択ばない
- 恐怖を感じる心が異常に乏しい
- 倫理観や罪悪感が希薄で良心がない
- 他者に冷淡で、他人の痛みを意に介さない
- 自尊心が過大で自己中心的
ひとみん
サイコパス!?
後天性の可能性
オペレーター
和田垣さくらの場合、母親との関連が度々指摘されているので、サイコパスではなく、後天性の可能性があります
サイコパスではなく、ソシオパスという設定か
果たして「無邪気」と言えるのか
オペレーター
この和田垣さくらに対して、一部には「無邪気」という評価もあるようです
ドロシー
「無邪気」って、悪意が無い、という意味よね?さすがにそれは無いんじゃないかな
円城寺
「無邪気」の定義にもよりますが、邪(よこしま)な考えが無い、とは思えないですからね
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