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鎌倉殿の13人

【鎌倉殿の13人】感想 第7話 上総広常が味方をした本当の理由

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オペレーター
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NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第7話、「敵か、あるいは」の感想解説です。前回の記事はこちらです
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上総広常で解る頼朝再起の謎

早くから頼朝側だった可能性

円城寺
円城寺
サブタイトルからも解る通り、上総広常の去就にフォーカスしたエピソードですが、実際のところこの時期には、上総広常は既に頼朝側で動いていたという説もあります
風雅
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「吾妻鏡」自体が北条得宗家の為のヒストリーであって信用は置けませんし、特にこの時期の記載は曲筆(事実を捻じ曲げて書く事)が多いと言われています。後の上総広常粛清を正当化するための創作の可能性も含めて、考察したいですね

上総広常とはどんな人物

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上総広常は房総半島(現在の千葉県)に土着した房総平氏の中でも最大の勢力を持っていました

上総氏3代当主平常澄の八男。4代当主を継いだ伊西常景が、次兄の印東常茂(5代当主)に殺害されて上総氏当主の座を奪われた事件を契機に、印東常茂に反発する勢力を糾合してこの時点で房総平氏最大の勢力になっていた。因みに三浦義澄(佐藤B作)は平常澄から偏諱”澄”の字を貰っている

円城寺
円城寺
兄弟同士の家督争いの中で漁夫の利を得た感じですかね

一族の多くが、上総広常側について立場の弱くなった印東常茂は、平家の姻戚であった下総の国守藤原親盛と結びつく事で上総広常に対抗しようとした。

円城寺
円城寺
武力で当主の座を奪った印東常茂は人望が無く、印東常茂の息子たち迄上総広常側に付きました。逆に上総広常は人望が有り、一族が多く従いました
風雅
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この事態から上総広常は、いくら力があっても人は従わず、正統性や大義名分が大事だ、という教訓を学んだものだと推察されます

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この時期、印東常茂は大番役として都にいて、後に平家軍として都から富士川の戦いに参陣します。

清盛に勘当された?

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治承三年の政変で上総国の知行国主が後白河院から平家に変わり、新たに上総介に平家の有力家人・伊藤忠清が任命されると、上総広常は伊藤忠清と対立します

伊藤忠清についてはこちらでも紹介しています。

伊子
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そして、一説によるとこの時、上総広常は平清盛から勘当されました

ひとみん
ひとみん
勘当!?上総広常は平家一門なの?

上総広常は清盛の義弟(平時子の弟)平時忠の息子時家を娘婿に迎えていたので、一門と言えなくもありません。ちなみに平時忠は有名な「平家にあらざれば~」を言った人物です。※参考平家物語の1話

アニメ平家物語キー
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円城寺
円城寺
なので当時の状況として、上総広常は二重三重に平家と対立していましたので、一も二も無く、頼朝に味方した、と考えた方が自然なのかもしれませんね

治承三年の政変の影響

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治承三年の政変の影響を整理しましょう

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  1. 後白河法皇を幽閉して、院側の知行国を多く平家側が奪った
  2. 平家の知行国の統制は平家の家人が行うようになり、元々権限があった在地の武士(上総広常のような人)と軋轢がおこり対立するようになった
円城寺
円城寺
伊豆で知行国主が変更になったのは、以仁王の挙兵(治承四年)の時ですが、他国では1年前の治承三年に起こっていたわけですね。そしてその諍いが在地の武士たちの不満をマグマのように貯めているタイミングで頼朝の挙兵がありました

関東の他の国では伊豆よりも早く治承三年の政変から平家と在地の武士の対立があり、在地の武士側からすると、平家を討つ仲間と大義名分を欲している状況であった。

この点、頼朝は関東では武家の棟梁(源義家)の嫡流という貴種であり、右兵衛権佐という高い官職についていた事から、誰もが一目置く神輿として最適な人物であった。また、以仁王の令旨もあり、平家を討つ大義名分も備えていた。

ドロシー
ドロシー
つまり上総広常からすると頼朝から呼びかけがあった事は「実に好都合」ということね

平家側の蹉跌

悪手を打った平家

ひとみん
ひとみん
どうして平家は、在地の武士の権限を取り上げて平家の家人が直接統治する方式にしようとしたの?

恐らく、院側と対立するようになり、政権の正統性に疑問を持たれる事態になった為、より平家に忠実な武力を動員できる体制を構築する必要があった為と考えられます。この時代は現代より迷信深く、寺社勢力との対立など、神仏を敵に回す際に、忠義心の低い軍団だと崩れてしまう恐れもあります。

ドロシー
ドロシー
頼朝側はそこの統制に「ご恩と奉公」の考え方を取り入れたけど、平家側は権威主義的な統率方法をとって上手く行かなかったわけね

「ご恩と奉公」で武士の気持ちを繋ぎとめた頼朝

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【鎌倉殿の13人】感想・解説・考察 第4話NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第4話、「矢のゆくえ」の感想解説です。頼朝の挙兵事情から、「ご恩と奉公」のベースを解説。八重と義時の恋愛事情はネタバレ込み、伊東家の凄惨な家系図込みで考察します。...

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司令塔なく統率取れず

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平家のもう一つの問題点は、家人同士の連携が取れず、司令塔不在のまま各個撃破された事でした

関東勢力図(出典:wikipedia「石橋山の戦い」

円城寺
円城寺
地図を見ると房総半島は頼朝側一色のように見えますが、実際はそれぞれに平家側の勢力も存在しました

<資料に登場する房総の平家側>

安房:長狭常伴、上総:伊藤忠清の目代(平重国か)、下総:藤原親政

9月3日:長狭常伴討伐

9月某日:上総目代討伐

9月4日:結城浜の戦いで藤原親政を倒す

ひとみん
ひとみん
平家の家人はどうして連携が取れていなかったの?

都に在住して、地方の事情に疎い平家の有力者が個別に家人を組織して、現地の利害関係の調整や体系だった組織の組成が出来ていなかった為と考えられます。

上総広常の遅参と2万騎

円城寺
円城寺
因みに史料では、結城浜の戦いで上総広常の軍勢は1千余騎と記載されています
ドロシー
ドロシー
2万騎とは随分隔たりが有るわね
風雅
風雅
2万は大袈裟ですが、当時の勢力図から推察すると、4~5千ぐらいの動員力ではないかと考えられます。それでも他の武将に比べると桁違いですけどね
ひとみん
ひとみん
上総広常はちゃっかり邪魔者を倒してる
円城寺
円城寺
そうですね。対立している伊藤忠清の目代や藤原親政の勢力を房総から駆逐して、自力で本領を安堵してますね

坂東武者たちは頼朝に味方する事で自らの利益も満たした

ドロシー
ドロシー
これが短期間で頼朝が大軍を組織できた種明かしと言う事ね

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頼朝が短期間に再起出来た理由まとめ

  1. 治承三年の政変で在地の武士と平家家人との対立が深まっていた
  2. 平家の家人間の連携が不十分だった
  3. 頼朝は関東では武家の棟梁としての貴種であった
  4. 頼朝が関東での生活経験を活かして武士たちの望みを叶えた(ご恩と奉公)

 

新キャスト

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新キャストが公表された歴史上の人物についてご紹介します

阿野全成

円城寺
円城寺
今回、初登場した阿野全成ですが、頼朝の異母弟、義経の同母兄になります

公家の阿野家の祖となり、子孫には、後村上天皇を生んだ阿野廉子などがいる

ひとみん
ひとみん
この阿野全成ですが、今回新キャストが発表された人物により命を奪われます。さて、6人のうち誰かな~

北条時房(瀬戸康史)

 

円城寺
円城寺
北条時房役は瀬戸康史です
北条時房

北条義時の異母弟。※母は牧の方(りく=宮沢りえ)ではありません。非常に容姿端麗で蹴鞠や和歌の才能も有り、貴人に好まれた人です。頼朝の嫡男頼家の側近で比企氏とも交際がありましたが、後世の研究では北条のスパイ説もあります。後年は北条泰時のライバルにもなります

北条泰時(坂口健太郎)

 

円城寺
円城寺
北条泰時役は坂口健太郎です。
北条泰時

父は北条義時(小栗旬)、母は八重(新垣結衣)。草燃えるでは頼朝の子種で有る事が示唆されましたが、今回はそういう事はなさそうです

比奈:姫の前(堀田真由)

円城寺
円城寺
姫の前役は堀田真由です。吾妻鏡によると絶世の美女とのことですね

比奈:姫の前

北条義時(小栗旬)の正室。次男・朝時、三男・重時を生む。北条氏と比企氏の争いの後は、離縁して都で再婚するが三年後に没

ドロシー
ドロシー
物語上、どうなるのかわからないけど、八重さんの事を忘れて1年間恋文を書いたって史料にはあるわよ
円城寺
円城寺
八重さん死後ですからね。絶対離縁しないからって約束して結婚するんですよね。どうなるのかな~

後鳥羽上皇と源実朝

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この二人は超有名なので解説は省きます

 

八田知家(はった・ともいえ)

 

円城寺
円城寺
あまり有名ではない人物ですが、おそらくドラマでは大変重要な役どころになるのではと思います
八田知家

下野国(栃木県)宇都宮宗綱の子。陰謀家。曾我兄弟の敵討ちを利用した「建久4年の常陸政変」により常陸国(茨城県)を勢力下に収める。頼朝死後、頼朝の弟阿野全成を誅殺

ドロシー
ドロシー
頼朝存命中、死後共に暗躍するわけね

 

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