オペレーター
アニメーター夏目真悟が、原作・監督・脚本を担当する「青春SFサバイバル群像劇」、テレビアニメ『Sonny Boy(サニーボーイ)』の第1話「夏の果ての島」の感想レビューです
異次元を漂流する学校
夏のある日突然の漂流
あらすじ ネタバレ →
STEP01
統制
8月16日。虚無的な空間を漂う学校。閉じ込められた36の中学生は、それぞれ”超能力”を手にしていた。中学3年の長良は、教室で仰向けに寝転ぶ。同級生の希に話しかけられるが、無気力なまま。長良は、トイレで生徒会の明星とキャップが、ここでの生活にルールを設けて統制を取り戻す算段をしているのを耳にする。明星とキャップ、生徒会長のポニーは、同じく漂流する学校内に閉じ込められたメンバーに、リーダーと役割を決めた上で、ルールを順守するようにグループトークで呼び掛ける。自由を束縛されるのを嫌う朝風と希は生徒会に逆らうが”罰”を与えられる
STEP02
光の方向
朝風は上海達と再び、生徒会に戦いを挑む。一方、希は、光を見つけ、それを手にする為に駆けだした
メインキャラクター
長良(ながら)
中学3年生にして、人生を諦念(テイネン)している、冷めた男の子。周りとの摩擦をせずに唯々諾々と過ごすことが身に付いている。漂流に伴って備わった能力は不明
希(のぞみ)
帰国子女で自己主張がハッキリしているタイプ。自分の中に明確な物差しがあり、他人の影響を受けない。漂流に伴って備わった能力は、一点を示す光を見れる「コンパス」
瑞穂(みずほ)
いつも3匹の猫をトートバッグに入れて連れている。つるむ事が好きではない模様。漂流に伴って備わった能力は、欲しいものをネコたちが持ってくる「ニャマゾン」
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朝風(あさかぜ)
規則に縛られるのを嫌う反抗的な性格。漂流に伴って備わった能力は、重力を意のままに制御できる「スローライト」
ドロシー
朝風って、1話だけのサブキャラかなって思っていたけど、メインキャラだったのね。意外
サブキャラクター
ラジダニ
論理的な思考の持ち主で、頭脳明晰。堀の深い顔立ち
ひとみん
Bパート頭で、漂流した世界の事を色々解説してくれてたキャラ
明星(ほし)
何を考えているか分からない生徒会の不気味な少年。
ドロシー
黒幕候補かな?ヒソカ=モロウ(『HUNTER×HUNTER』)みたいな顔の星型は痣なのね
ポニー
生徒会長。変人が多い生徒会の中では、一番常識人?!
円城寺
知性派ではあるのですが、キャップが暴走した時に怯えたり、試験勉強をしたり、常識派的な所が魅力ですね
キャップ
大柄な体の小心者。1話では明星(ほし)に利用される
はやと
メガネをかけた長良の友人
ドロシー
メガネキャラってどうして、こんなウザキャラポジションなんだろう
オペレーター
群像劇なので、ネームドのサブキャラクターもたくさん登場します
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テーマはアンチテーゼ?
分かり易さへのアンチテーゼ
円城寺
普通は、1話のBパート辺りから、漂流開始ですね。例えば、「revisions リヴィジョンズ」なんかそうですね
ドロシー
時系列にやった方が分かり易いし、日常から入った方が、漂流に対するインパクトもあるし、キャラへの愛着も出るしね。そうするのがオーソドックスなんでしょうけど
風雅
敢て、分かり易さを否定しているようなところが有りますよね
キャラへの愛着は後回し。漂流する事のインパクトも犠牲に
説明重視へのアンチテーゼ
オペレーター
関係者インタビューによると、この作品は、意図的にナレーションやモノローグ無しの構成になっているようです。
円城寺
ポイントでは状況説明がありますが、キャラクターの心情は各オーディエンスが読み取ってくれっというスタンスのようですね
状況については、ラジダニが狂言回しのポジションで補完してくれる
ドロシー
最近のテレビアニメは、「これでもか!」っていうくらい、分かり易さ偏重だから、それへのアンチテーゼ的な意味合いがあるのかもね
低年齢層向けの「クドイ」説明が多い最近の風潮へのアンチテーゼか
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チートへのアンチテーゼ
オペレーター
高い能力を得て、それを振り回す朝風に対して、ポニーがシニカルな批判をします
「そりゃあ、嬉しいよね。突然、凄い力が手に入っちゃったんだから。今までさえなかったもんね」
「でもさあ、それって現実じゃ通用しない力だよ。しかもさあ、アンタの実力でもなんでもない。ただ、偶然拾っただけの力でしょ」
出典:Sonny Boy1話より引用
風雅
ただ、そんな朝風をただの端役では無しに、メインキャラに据えている所が”味”ですよね
個性的な異能力
まさにドラえもん
オペレーター
所謂、超能力、異能の類が、各キャラに割り当てられますが、一般的な異能モノとは違う、個性的な異能が登場します
風雅
注目したのはメインキャラの一人、瑞穂(みずほ)の「ニャマゾン」ですね
オペレーター
猫がアマゾンのように、欲しい品を届けてくれる能力です
風雅
正にドラえもんのポッケで、何でも出してくれる。サバイバルには便利な能力ですよね。この時点でバトルとかは、メインテーマでは無いのだろうな、と想像がつきます
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”36人”に意味はあるか?
オペレーター
漂流した人間は全部で36人。それぞれに個性的な能力が割り振られています
風雅
それはわかりませんが、多人数という事には意味が有るんじゃないか、というのが1話を観て思った事です。みんな能力は一つで、一つだけじゃ生き抜け無さそうな能力です
メインテーマは共生か
円城寺
それぞれが唯一の個性的な能力を持っているわけですよね。異世界ですけど、「世界に一つだけの花」状態ですね
風雅
そういう「世界に一つだけの花」状態で、協力してやっていく姿がメインテーマなのかな、という気はしますね
ドロシー
明星(ほし)がやるような、為政者による上からの統制じゃなく、横の連帯みたいなもの?
メインテーマ
明星(ほし)の考え方に対するアンチテーゼか?
ドロシー
希の能力で、真っ暗闇の虚無の世界から、青い海と青い空の世界になって、皆がはしゃぐ中、明星(ほし)は、一人暗く厳しい表情だったもんね
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「ブギポ」のリベンジか
オペレーター
以下は、余談ですが、監督、アニメ制作会社だけでなく、主要キャストも「ブギーポップは笑わない」と同じです
boogiepop-anime.com
外部リンク
http://boogiepop-anime.com
http://boogiepop-anime.com
市川蒼
【本作】
長良(ながら)
【ブギーポップは笑わない】
田中志郎/歪曲王
大西沙織
【本作】
希(のぞみ)
【ブギーポップは笑わない】
霧間凪
悠木 碧
【本作】
瑞穂(みずほ)
【ブギーポップは笑わない】
ブギーポップ / 宮下藤花
小林 千晃
【本作】
朝風(あさかぜ)
【ブギーポップは笑わない】
竹田啓司
円城寺
キャスティングは、オーディションではなく、指名だったそうなので、一人二人ではなく、メインキャストが4人とも同じと言うのは、何か意図が有る感じでしょうか
風雅
これは、中々面白い分析ですね。原作が有るが故に忸怩たる思いで表現出来なかった事をここで表現する意図も有るのかもしれませんね