オペレーター
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第1話、「大いなる小競り合い」の感想レビューです。1話の内容から今後のストーリーを大胆予想します
円城寺
現在、並行して同じ時代を扱ったアニメ「平家物語」が放映されているので見比べると面白いかもしれませんね
【考察】アニメ「平家物語」第1話 ネタバレ感想テレビアニメ「平家物語」の考察です。原作は古典の軍記物語「平家物語」です。本作は、テレビアニメとしては、2013年の『たまこまーけっと』以来の山田尚子監督作品です。全体的に素晴らしい出来で、山田尚子監督作品が好きな人にはお勧めです。...
ドロシー
鎌倉幕府サイドから見た物語が「鎌倉殿の13人」で、平家サイドから見た物語が「平家物語」という感じね
大いなる小競り合い
印象
ドロシー
コミカルな部分とシリアスな部分の緩急が自在で流石に練られた脚本って印象よね
登場人物クレジット
オペレーター
一方で、批判的な声が大きかったのは登場人物のクレジットが入る度に画面が静止する演出です
風雅
ストーリー全体のテンポが良いだけにちょっと惜しかったですね
ひとみん
ナレーションも「ささやくようだ」っていう批判が多いみたい
円城寺
でも、それは演出ですよね。邪魔にならないようにとの配慮だと思いますよ
ドロシー
ナレーションに頼って観るような作品じゃない、って主張かな。どっちにせよこれはこれで”アリ”だと思う
主眼は政子・義時姉弟と頼朝
オペレーター
1話はストーリー的には、源頼朝と北条政子、北条義時の出逢いを中心に描いた内容でした
北条時政の意外な豪胆さ
千鶴丸と工藤祐経をクローズアップ
ドロシー
この二つのポイントが今後のストーリー展開を予想する上で需要なファクターになりそうね
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源頼朝暗殺説の伏線か
工藤祐経と伊東祐親の確執
オペレーター
では、1話を観た限りでは解りづらかった工藤祐経と伊東祐親の確執について整理してみましょう
- 伊東祐親の父・伊東祐家が死んだ後、本領伊東荘は祖父・工藤祐隆の養子・伊東祐継(工藤祐経の父)が継ぎ、祐親は分家扱いとなった。
- この沙汰に納得できない、伊東祐親は伊東祐継の死後、本領(伊東荘)を実力で奪い、工藤祐経を追放する
- 工藤祐経は都で訴訟を起こすが祐親の政治力でねじ伏せられる
ちなみに工藤祐経の父、伊東祐継は、工藤祐隆の後妻の連れ娘の子供。
円城寺
なるほど。かなりややっこしいですが、伊東祐親にしてみれば、祖父の後妻の連れ子の子供に家を乗っ取られたって感じですね
工藤祐隆 ― 伊東祐家 ― 伊東祐親
| ― (後妻の連れ娘)― 伊東祐継 ― 工藤祐経
ドロシー
中世のドロドロした血縁&姻戚関係よね。一方の工藤祐経にしてみれば、現状を実力で変更されたって感じね
工藤祐経への暗殺指示
オペレーター
1話では源頼朝が、工藤祐経に伊東祐親暗殺を指示するシーンがありました
1176年10月
工藤祐経が伊東祐親を矢で襲撃。矢は伊東祐親を外れて伊東祐親の嫡男河津祐泰を射殺する
オペレーター
当時は血筋の姓より住んでいる土地の名称を通称に使用していたのでこうなります
この伊東祐親暗殺未遂事件は、工藤祐経の恨みによる犯行と言うのが通説ですが、異説として、源頼朝の指示によるものという説があり、「鎌倉殿の13人」ではこの異説が採用されることがほぼ確定となりました。
伊東父子襲撃における源頼朝関与説
また、歴史学者の保立道久は伊東祐親は工藤祐経に襲撃される直前に自分の外孫にあたる頼朝の長男・千鶴丸(千鶴御前)を殺害しており、工藤祐経による伊東祐親父子襲撃そのものに息子を殺された頼朝による報復の要素があり、曾我兄弟も工藤祐経による伊東父子襲撃の背後に頼朝がいたことを知っていたとしている。この説では、曾我兄弟は初めから頼朝を父を殺害した仇として認識していたことになる。
『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
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曾我兄弟の仇討ち
オペレーター
そしてこの伊東父子襲撃がその後発生する日本三大仇討ちの一つ、「曾我兄弟の仇討ち」の要因となります
<日本三大仇討ち>
- 曾我兄弟の仇討ち
- 忠臣蔵(赤穂浪士の討ち入り)
- 鍵屋の辻の決闘(荒木又右衛門の伊賀越え仇討ち)
「一富士二鷹三なすび」説
「曾我兄弟の仇討ち」は富士の巻狩りの際に行われた。忠臣蔵の赤穂浅野家の家紋は鷹の羽。荒木又右衛門が鍵屋の辻の決闘で名を成した、という説
ひとみん
残りの二つは超有名じゃん!で、曾我兄弟ってだあれ?
オペレーター
曾我兄弟は伊東父子襲撃事件で殺害された河津祐泰の遺児たちです。河津祐泰殺害後、母親が曾我祐信と再婚した事から曾我を名乗るようになります
「曾我兄弟の仇討ち」は、河津祐泰の遺児たちが、富士の巻狩りの際に工藤祐経を殺害した事件。
「曾我兄弟の仇討ち」は、一説には、”仇討ちを装った”源頼朝暗殺を狙ったものという説がある。伊東父子襲撃が源頼朝の指示によるものとなれば、その動機を決定づける説となる
円城寺
なるほど。「鎌倉殿の13人」では、その説を採る可能性が高まったという事ですね
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片鱗を見せる北条時政
人が良いだけではない
円城寺
お土産を配るところなんか、人の良いところを見せて義時に窘められる時政ですが、伊東祐親が攻めてきた時は豪胆なところを見せました
ドロシー
人の好いオヤジがどんどん陰湿な陰謀家になっていくのよね
風雅
義時もそうですよね。実直な好青年が変わっていくという
ドロシー
悪人が善人になるのは興醒めだけど、善人が悪人になるのはゾクゾクするわ
北条時政は源頼朝暗殺未遂の黒幕か
円城寺
で、先ほど紹介した「曾我兄弟の仇討ち」が偽装かたき討ちで、真の目的が源頼朝暗殺だという説では、黒幕はこの北条時政だという説が有力です
北条時政黒幕説
歴史学者の三浦周行が大正期に北条時政黒幕説を唱え、それ以来学界に大きな影響を与えてきた。吾妻鏡や曽我物語では工藤祐経を討った後に時致は源頼朝をも襲っており、これが時政の暗躍によるものとする解釈である。時政は事前に駿河国に入国し準備を行っており、頼朝が富士野に到着した際もあらかじめ参上しており[注釈 7]、この説に説得力をもたらした。
またそれ以前より時政と兄弟は縁があり、兄が弟である筥王(曾我時致)を連れ時政の屋形を訪れ、時政を烏帽子親として元服している。従来より面識のあった時政が兄弟を頼朝襲撃へと誘導したとする見方が現在でも多い。
『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
風雅
このあたりどういう説を採ってくるか興味深いですね。確かに面白いし、ドラマチックな説ではありますが、一つ注意しなければいけないのは「吾妻鏡」という歴史資料は北条義時サイドで編纂された資料なので、義時に都合の良い記述は疑う必要はあると思います
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『草燃える』との違い
北条義時から平清盛
円城寺
同じ大河ドラマの『草燃える』では北条義時役でしたね
風雅
気弱な好青年が老獪で薄気味の悪い政治家になって行く様を好演してました
共産革命の歴史観
武士はそもそも「武装農民」。武士が実権を握る源平合戦は、「源氏は借り物で、武士天下を取るための革命であった」というポジションが『草燃える』。
ドロシー
でも、十三人の合議制から、一人の権謀術数に長けた陰謀家が権力を握る様とか、多くの革命に通じるところがあるような感じよね。
風雅
でも最近の研究では「十三人の合議制」の存在価値そのものが薄らいでいる感じですから、そのあたりどう表現されるか興味深いですね
円城寺
そうですね。同じ事をやられても進化が無いので、また違った物語を見せて欲しいですね