オペレーター
劇場アニメ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のネタバレ感想レビューです
人権弾圧(人狩り)に抗い、格差社会に挑んで散ったハサウェイの物語。
この作品は三部作の一作目で、運命の女ギギ、そして宿敵ケネスとの出会い、ハサウェイが愛機となる「Ξガンダム」を手に入れるまでが描かれます。
もくじ
『閃光のハサウェイ』アウトライン
『逆襲のシャア』の続編
オペレーター
本作は、劇場アニメ『逆襲のシャア』の続編にあたります。作中では、前作についてテロップで2,3行説明されるだけなので、事前に観ておかないとチンプンカンプンかもしれません。また、前作時点からから12年経過後を描きますが、その間の出来事も詳細に説明されることはありません
昨今のテレビアニメに多い、説明過多の作品に慣れているとついて行けない可能性があります。
- 『逆襲のシャア』の続編
- 『逆襲のシャア』以降12年間の出来事も説明なし
円城寺
これは説明過多によるテンポの悪さやリズムの悪さを回避したためと考えられます。そこで、それを少し補足したいと思います
『逆襲のシャア』後の状況補足
- 地球連邦政府は、地球環境の汚染と民衆の弾圧を進めていた
- 特権階級は「人狩り」と呼ばれる不法居住者の摘発と宇宙への強制送還により地球を私物化していた
- 青年に成長したハサウェイ・ノアは、うつ病の治療と植物観察官候補生の研修で地球を訪れる。そこで反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」の創設者を通じて、地球の実態を知る
- ハサウェイは「マフティー・ナビーユ・エリン」の活動に強く共感するようになり、いつしか”マフティー”の名前を背負うことになる
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三部作の一作目
オペレーター
本作は三部作の一作目にあたり、主要登場人物のキャラ紹介とそれぞれの立ち位置、作品の世界観や対立構造などの説明がメインになっています
右からギギ・アンダルシア、ケネス・スレッグ、ハサウェイ
© 創通・サンライズ
ストーリーライン
オペレーター
まず前提として ハサウェイ、ケネス、ギギの3人が地球に向かう、それぞれの目的を整理します
- ハサウェイは秘密裏に発注していた最新鋭のガンダムタイプのモビルスーツ「Ξガンダム」を受け取る為に地球に向かう
- ケネスは、マフティー掃討部隊の後任司令官として着任するため
- ギギはパトロンが用意した香港のアパートに行くため
円城寺
「Ξガンダム」は、マフティーが発注して、月で製造されて地球で引き渡される予定です
- STEP01ハイジャックハサウェイ、ケネス、ギギの3人は連邦政府高官らが多数搭乗する特権階級専用往還シャトル「ハウンゼン」に偶然同乗する。「ハウンゼン」は、「マフティー」の偽物テロリスト集団にハイジャックされる。ハサウェイはギギにけしかけられ、ケネスの助力も得てハイジャッカーを鎮圧する。
- STEP02ギギに惹かれるハサウェイハイジャック事件の事情聴取の為、刑事警察機構の監視下に置かれるハサウェイ。ギギは直感だけでハサウェイが「マフティー」その人であることを見抜く。ハサウェイを気にったギギは、自分と同じホテルに部屋を用意するが、結局、同じ部屋に泊まる事になった。ハサウェイはギギの危険性を警戒しつつその魅力から離れられなくなりつつあった
- STEP03陽動作戦ハサウェイを刑事警察機構の監視から外す目的で「マフティー」は陽動作戦を実行する。しかし、ハサウェイはギギを見捨てることが出来ず、結局逃げる機会を失い、ケネス率いるキルケー部隊により、陽動作戦の実行者ガウマンは捕虜となる
- STEP04Ξガンダムハサウェイは事情聴取を終えて、「マフティー」に合流する。宇宙空間で「Ξガンダム」を受け取るが、「マフティー」の動きを察知したキルケー部隊のレーン・エイムが操縦する新型モビルスーツ・ペーネロペーの強襲をうける。ペーネロペーには捕虜となったガウマンが人間の盾として同乗していた
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ハサウェイ、ケネス、ギギ
「ハウンゼン」ハイジャック事件
オペレーター
本作は、3部作の1作目と言う事で、主人公となるハサウェイとギギ、ケネスの出会いの場となる「ハウンゼン」ハイジャック事件を詳細に描いています
ハサウェイはなぜ「ハウンゼン」に搭乗したか?特権階級の愛人であるギギや司令官として着任するケネスと異なり、この後、粛清するつもりの閣僚たちを実際に観ておきたかったという個人的な欲求によるもの。(終盤でモノローグあり)
ハイジャック犯に殺害された閣僚の遺体を見た反応から推察するに、ハサウェイの心情としては、『閣僚』という記号ではなく、人間としての彼らを観る事で、自身の行いに対する戒め(覚悟を決める)にする意味があったのではと考えられる。
ドロシー
ハイジャック事件の描き方としては、特にギギの不思議ちゃん的なパーソナリティを理解してもらえるように注意深く描いていたのが印象的
© 創通・サンライズ
円城寺
ハサウェイに『ニセモノをやっつけちゃえ!』みたいな事を言いますが(ハイジャック犯は「マフティー」を騙るニセモノ)、唐突感をなるべく和らげるように、”如何にも言いそう”とオーディエンスが思えるように工夫してましたね
メイス・フラゥワー
ドロシー
それに対してケネスは優秀でやり手なんだけど、常識の有るパーソナリティとして描かれていたわ。だから単純に異性として必要としているのは常識的な大人の女性メイス・フラゥワーの方なよね。ギギは勝利の女神として必要というスタンスよね
ケネスとメイス・フラゥワー
© 創通・サンライズ
ひとみん
それに比べるとハサウェイのパーソナリティが最初は解りづらかった
円城寺
12年間の出来事の説明が抽象的でしたからね。鬱になっていたという設定も含めて、難解なパーソナリティですよね
ハサウェイに興味を示すギギ
オペレーター
ギギはハサウェイの正体(「マフティー」であること)を見抜きながら、興味を示します
ハサウェイに近づこうとするギギ
© 創通・サンライズ
ドロシー
ギギからすると80歳過ぎのおじいちゃんの愛人にならざるを得ない境遇から、年齢的に通常の恋愛対象になるハサウェイのような精悍な青年に惹かれる部分があるのよね
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ロボットバトル
夜戦は暗い
オペレーター
ガンダムと言うと、ロボットバトルが見所です
ドロシー
そうなんだけど、この作品は全体的に画面が暗かったわ
円城寺
夜戦は火花や爆発が色鮮やかでインパクトがありますが、確かに観ずらい面はありますね
夜のダバオ襲撃
© 創通・サンライズ
近接戦もロボットより火花や爆発が目立つ
© 創通・サンライズ
© 創通・サンライズ
風雅
この辺りは、ガンダムを操縦せずに地上にいるハサウェイの視線である事も影響が大きいですかね
ロボットバトルの迫力が、人間目線になっている
© 創通・サンライズ
空中戦
ドロシー
空中戦も全体的に暗くて、光が目立つシーンだったわね
「Ξガンダム」の初出撃シーン
© 創通・サンライズ
ガンダム同士の戦闘。ロボットは暗くてよく観えない
© 創通・サンライズ
ドロシー
画面が暗い方が重厚感は出るのだろうけど、もう少し明るい方が観易いかな
見放題だと評価が割れる
オペレーター
この作品、見放題だと評価が真っ二つです
ドロシー
星5と星1のオンパレードで両極端なのよね。結局、何に重きを置くかって言う事よね
円城寺
説明過多の作品にどっぷりの人は、予備知識必須ですかね。劇場までわざわざ観に行く人は予備知識(前作の内容や、本作が3部作の1作目であることなど)がある人が多いから、問題ないですが、見放題で観る人は予備知識のない人が多いでしょうから、前提知識を得るための説明PVなどが別途あった方が良いかもしれませんね
風雅
海外マーケットを意識しているという事で、分かり易さより、クールさ、スタイリッシュさを重視しているのでしょう。