オペレーター
大河ドラマ「晴天を衝け」を10倍楽しむ為の解説レビューです。ドラマではあまり触れられないような時代背景や、経緯などを解説しながらレビューします。第6話では慶喜に嫁ぐ美賀君、将軍家定に嫁ぐ篤姫が登場。栄一も恋心に目覚めそうな展開となります
地震の余波とその後
美賀君→篤姫の姫君リレー
【あらすじ①】
アバンで家康が水戸藩祖徳川頼房について、及び光圀が発展させた水戸学について、水戸学が全国に広まった事、水戸学の第一人者が藤田東湖だった事を語る。そんな藤田東湖の訃報が、尾高惇忠たちに届く。彼らなりに国を護る決意を誓う。
一橋慶喜の元に美賀君が嫁いでくる。また、将軍家定の元に嫁ぐ篤姫も登場する。
篤姫のイメージにぴったりな気品と大らかな胆力
オペレーター
篤姫の役は上白石萌音でしたが、鹿児島出身だけあって、薩摩弁も好評で、大らかさや胆力も表現出来ていて、演技は大変好評でした
ドロシー
放送前はアンチ執着が凄かったみたいだけど、放送後は雑音も小さくなったみたいね
円城寺
あっけらかん、とした感じにも取れますが、大らかな賢さが良く表現出来てましたね。
風雅
男たちが小賢しい策を色々弄して、アレコレ注文を付けるのを、「ドンと任せなさい」的な感じで、良かったですね
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島津斉彬も本当は一廉(ひとかど)の人物ですよ
円城寺
ただ、あれを見ていると、島津斉彬が何か小賢しい小物に見えてしまうのが残念ですね
風雅
島津斉彬も、少し早世するのですが、それがなければ「歴史は変わっていた」と言われるだけの相当な器の人物です
ドロシー
西郷隆盛とか優秀な人材を抜擢したり、薩摩の近代化を推し進めたりしたのよね。まあ、他の大河ドラマではちゃんと優秀な人物に描かれているからいいんじゃない
慶喜と義祖母「徳信院」との本当の関係
美賀君の嫉妬
【あらすじ②】
慶喜は徳信院と仲睦まじく「謡」を愉しんでいる所に嫉妬した美賀君が乱入する。美賀君が慶喜と徳信院の関係を嫉妬して、家臣一同困っていると平岡円四郎は妻に言う。
下田に到着したハリスのシーン。「ミルクを飲みたい」と言って役人を困らせる。阿部正弘は本格的に開国する方針を検討するが、斉昭が猛反対する。
尾高道場に、道場破りの真田範之助がやってくる。喜作・栄一が負け、長七郎が勝つ。その夜、真田も多摩百姓の倅ということで、宴会で盛り上がり仲良くなる。栄一と千代はお互いを異性として意識しだす。
一方、一橋の美賀君は嫉妬に狂い遂に刃物を振り回す。(当時の資料に自殺未遂の記載有)
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美賀君が嫉妬した理由
オペレーター
美賀君が徳信院に嫉妬した理由について、外形的な三人の関係を整理してみましょう
年齢
ひとみん
美賀君は慶喜よりも年上だったんだね。それに徳信院は義祖母、あばあちゃんといっても7歳しか違わないんだ!
美賀君は慶喜よりも年上だった。しかも、義祖母である徳信院とも5歳しか違わない
家柄
吉子(慶喜の母)
親王の娘(女王)つまり皇族
徳信院(慶喜の義祖母)
親王の娘(女王)つまり皇族
美賀君
公卿の娘
慶喜の母と義祖母が皇族なのに対して、美賀君は公卿の娘である
美賀君は”代打”だった
オペレーター
元々は義妹である千代君が慶喜の婚約者でしたが、疱瘡にかかり、急遽代打として選ばれたのが美賀君でした。尚、千代君は美賀君よりも8歳年下、慶喜よりも6歳年下でした
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慶喜と徳信院、ホントの仲
オペレーター
当時の一橋支持派大名の書状には、慶喜と徳信院の仲を疑うものがあり、少なくとも周囲は「怪しい」と考えていたようです。なので、美賀君が疑うのは仕方のない事だと言えます
円城寺
前にも言いましたけど、水戸藩は江戸定府の定めがあり、母の吉子は江戸住まいでした。ところが水戸家には男の子は水戸で育てるという決りがあり、慶喜は生後7か月から水戸で育てられました。つまり物心ついてから母親の愛を知らずに育ったわけです。9年後、一橋家に養子に行くときに江戸に出るのですが、その時から徳信院が母親代わりだったようです。
風雅
男女の関係が無かった証拠という訳ではありませんが、慶喜には二十人を超える子供がいますが、もちろん徳信院との間に子供はありません。美賀君との間には一女が誕生しています(=夭折)。慶喜の余生は静岡で暮らしますが、母・吉子が訪ねた時も、徳信院が訪ねた時も、美賀君と一緒に歓迎して観光地案内をしている記録がありますので、この頃には蟠りは無かったようです。
ドロシー
慶喜が静岡に移動する時も、吉子や徳信院が美賀君が静岡に行けるように取り計らったのよね。後年、男女間の乱れた関係があったようなドロドロしたものは一切感じないわね
男女の関係なので、真相は”藪の中”ですが、仲が良かったのは事実として、徳信院は慶喜にとって母のような存在だった可能性が高い
重要な緩衝材・阿部正弘が遂に・・・
一橋派の凶兆
【あらすじ③】
水戸では皇族出身の吉子を上座に置き、斉昭とその息子たち一同が敬意をもって正月を迎える儀式が行われる。その後、吉子は藤田東湖亡き後の水戸の内紛を慶喜に話す。また、妻との関係を愚痴る慶喜に吉子は、夫の心掛けも大事と諭す。斉昭は、息子たちに、徳川宗家と争っても天皇には逆らうな、という家訓を伝える。
慶喜は阿部正弘に斉昭から辞職願が出たら受理するように依頼する。阿部正弘は体調が優れない様子で気遣う慶喜。阿部正弘は、「誰か様(慶喜)と御公儀で一緒に仕事がしたかった」と言い残し、新しい世の到来を示唆する。
血洗島村では喜作が「千代を嫁にもらう」と言い出す。栄一は気が気でない。
一方、幕閣では阿部正弘が病に倒れる。
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藤田東湖亡き後
オペレーター
前回のレビューでも触れましたが、藤田東湖亡き後の水戸家の内紛が吉子より語られます
【大河ドラマを10倍楽しむ】「晴天を衝け」第5話 解説レビュー 自称”ブ男”川路聖謨の「素敵な外交術」大河ドラマ「晴天を衝け」を10倍楽しむ為の解説レビューです。ドラマではあまり触れられないような時代背景や、経緯などを解説しながらレビューします。第5話では疫病、大地震と現代にも似たような災害とそれに翻弄される人々が描かれていますが、「藤田東湖が斉昭から信頼される理由」や「西郷隆盛や橋本佐内が藤田東湖を慕ったのはなぜか」、「文豪イワン・ゴンチャロフが絶賛した川路聖謨の人柄と才能」など、主に脇役の偉人たちについて解説します。...
オペレーター
水戸家では内紛と暴発が繰り返されて、次第に人材が枯渇していきます
円城寺
一橋慶喜にとっても痛いですね。一橋家はそもそも領地も家臣も幕府の借りものなので、何をするにしても生家の水戸家に頼りたいところでしょうけど、それが困難になったという事ですね
風雅
先の話ですけど、だからこそ渋沢栄一の出番がある、とも言えますね
風雅
水戸家は内紛なんていう生易しいものではなく、お互いに相手を根絶やしにする位の酷い争いになります。
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阿部正弘の早逝がもたらす影響
オペレーター
幕府の幕閣内で緩衝材的立ち位置だった阿部正弘が斃れました
円城寺
この後、強権を濫用する人(井伊直弼)が現れて大混乱します。同じ開国派の有能な人材(川路聖謨など)も一橋支持派というだけでパージするなど、大事なところで優秀な人材を失い幕府も日本も大痛手を負う事になります
ドロシー
まったく、優しすぎて内紛を招く人(徳川 慶篤=慶喜の兄)がいたり、逆に強権を濫用して混乱させる人がいたり、どうなってんのよ!
風雅
そう思うと八方美人とか言われながら、衝突を回避して有能な人材を登用した阿部正弘の退場は、慶喜だけでなく日本にとっても色々とマイナスだったと考えられますね