オペレーター
大河ドラマ「晴天を衝け」を10倍楽しむ為の解説レビューです。ドラマではあまり触れられないような時代背景や、経緯などを解説しながらレビューします。第9話では安政の大獄の反動による桜田門外の変までが描かれます
もくじ
安政の大獄
強権政治
【あらすじ①】
井伊直弼は一橋派への弾圧をエスカレートさせていた。橋本左内らの捕縛・処刑、対外交渉にあたっていた幕臣の岩瀬忠震、永井尚志らも罷免された。さらに、登城禁止処分の一橋慶喜に隠居・謹慎、徳川斉昭も水戸での永蟄居となった。平岡円四郎も甲府勝手小普請に左遷される。
毒食わば皿まで
ドロシー
井伊直弼の弾圧がどんどんエスカートしていくわね
風雅
この辺りが強権政治の怖い所ですよね。段々歯止めが利かなくなっていく
円城寺
「毒食わば皿まで」という感じで、権力に酔って、感覚がマヒしていくんですかね
権力に酔うと感覚がマヒして、エスカレーションが激しくなる
有能の幕臣も処分
風雅
取り合えず、一橋派と言うだけで、有能な人材も処分していくので、幕府内も無能なイエスマンだらけになっていくわけです
円城寺
そうするとドンドン弱体化していきますよね
ドロシー
幕府の寿命を縮めた要因の一つよね
有能な幕臣も一橋派というだけで処分されたので、幕府の能力はどんどん低下した。
恐怖政治(テルール)=テロ
桜田門外の変
【あらすじ②】
井伊直弼に不満を募らせた、水戸藩士たちは脱藩して、桜田門外にて井伊直弼を襲撃して打ち取る。その報に接した徳川斉昭は「水戸は仇持ち」になったっと嘆く。
一方、その話は血洗島にも届き、若人たちは盛り上がる。
桜田門外の変から二か月後、徳川斉昭はこの世を去る。その報を聞き一橋慶喜は号泣する。
喜作は江戸行を父に認められ、栄一も行きたがる
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水戸は「仇持ちになった」の意味
円城寺
徳川斉昭は喜ばなかったんですね
風雅
こうした行為が、大いなる禍根を残す事を承知していたんでしょうね。史実でも実行犯たちを厳罰にするように指示しています
ひとみん
仇持ちって?
ドロシー
仇として付け狙われる人の事よ
恐怖政治がテロを招く?
オペレーター
フランス革命でも、ロペスピエールが恐怖政治を実行して、その言葉「テルール」がテロの語源になりました
ドロシー
井伊直弼の恐怖政治が桜田門外の変というテロを招いたわけね
テロの語源はテルール(恐怖政治)
処分は解けないの?
ひとみん
井伊直弼がいなくなったのに謹慎とかの処分は解けなかったの?
ドロシー
まず井伊直弼の死は二か月間伏せられたのよ
なんと二か月もの間、井伊直弼は生きていたことにされた。しかも、死因は病死とされた。
ひとみん
それはどうして?
ドロシー
事を大きくしたくなかった。イエスマンばかりの幕閣が考えそうな事よね
風雅
普通に考えれば彦根藩井伊家は、士道不覚悟でお家断絶、水戸藩も厳罰ですからね。収拾がつかなくなりますね
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士道不覚悟
ひとみん
被害者の井伊家がお家断絶?
ドロシー
江戸幕府って軍事政権だからね。そこの最高司令官がテロの襲撃で死んだら、カッコつかないでしょ
普通に考えれば「士道不覚悟」で井伊家は厳罰
円城寺
その間に跡取りに井伊家を相続をさせて、ほとぼりを冷ましたわけですね
風雅
安政の大獄の処分が解けるのは桜田門外の変から6か月後になります。ただ、井伊家はこの後、結局混乱の責任をとらされます。
悪しき前例:テロで世の中が変わる
井伊直弼を大老にした徳川家定が悪い?
オペレーター
桜田門外の変の結果、テロで世の中が変えられるという前例となり、この後、日本ではテロが横行する事になります
ドロシー
幕府が弱まるのは自業自得なんだけど、テロで優秀な開明派がどんどんいなくなるのは、迷惑よね
風雅
そうですね。結局、尊王攘夷派が天下を取るんですが、かれらも、多大な犠牲の上に攘夷の無謀さにやがて気づきます。そして、表面だけ開国派に転身するのですが、根本的には排外的な尊王攘夷派のままの思想が残っちゃうんですね
円城寺
そう思うと安政の大獄を主導した井伊直弼の罪は重いですね
ドロシー
もちろん、井伊直弼を大老にした徳川家定も悪い、そして徳川家定を将軍にした阿部正弘の失政でもあるかもよ
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そこまで遡ると
風雅
そこまで遡ると阿部正弘が少し可哀そうな気もしますけどね。あの時期に、家定を廃嫡して一橋慶喜を後継将軍にするのはかなりの荒業でしたからね
ドロシー
「上様の思し召し」でどうにでもなるんじゃないの?
円城寺
また、そんな井伊直弼みたいなことをすれば、混乱しますよ