源義経がサイコパスなら、源頼朝はマキャベリスト。ともにダークトライアド
先入観を持たず、虚心坦懐に史料を見た結果だと思われますが、三谷幸喜が、「悲劇の貴公子」ではない、新たな源義経像を描いています。
サイコパスな源義経
だまし討ちを恥じない
8話の義経は野武士をだまし討ちしして、獲物を横取りした上で、気にも留めずに何事も無かったかのように天真爛漫に振る舞う
残虐な行為や悪辣な詐欺をおかしても平気な精神状態で、反省の色を見せない
どぎついけど、インパクトが有り、視聴者にこの「鎌倉殿の13人」源義経がどんなキャラクターとして、描かれるかを上手く理解させるエピソードでした。
目障りな人間を破滅させる
兄の義円が自分より頼朝に好感を持たれていると不機嫌になった義経。或る時、叔父の行家が頼朝の弟たちを仲間に誘いに来た。誰も相手にしない中優しい義円だけが心が揺らいでいると見抜いた義経は言葉巧みに義円をたきつける。結果、義円は、行家と共に墨俣川の戦いで平家と戦い命を落とす。また、義経は義円から預かった頼朝宛ての文を渡すことなく、晴れ晴れとした顔で破り捨てる
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義円の優しさに付けこみ、その良心を刺激して破滅へと導く
源頼朝は義経を叱責して謹慎させる
自身も後年、源行家の口車に乗って破滅する。まさに因果応報
木曾義仲をだまし討ち
【宇治川の戦い】
数万騎の大軍で入洛した木曽義仲も、相次ぐ敗戦や源氏一族の中での仲違いにより、脱落する兵が続出していた。僅かな手兵のみとなった義仲は、鎌倉の大軍が京に近づくならば、京を放棄して後白河法皇などを連れて北陸に逃げる算段をしていた。義経は、一計を案じ義仲に決戦を決意させるため「自軍は、飢饉の影響で少数である」という虚偽の情報を流し、義仲に北陸行きを中止して迎え撃つ判断させる。そして宇治川の戦いで木曽義仲を討ち取り、後白河法皇を解放する。
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和平とみせかけて・・・
【一の谷の合戦の謀略】
義経の策として、平家に対して、後白河法皇から偽りの和議を提案してもらい、平家が油断している隙に攻め込み平家軍を瓦解させる
平然と嘘をつく。それに対して良心の呵責も無い
非戦闘員を平気で射る
非戦闘員である漕ぎ手を射る
畠山重忠が猛反対をして、比企能員や三浦義澄など御家人たちも従わないが、義経の手勢でそれをやって平家軍を壊滅させる。源範頼や北条義時は、あまりの非道さに息をのむ
破滅への道
梶原景時の手のひら返し
今までのドラマでは、早い段階から義経と対立していた梶原景時ですが、このドラマでは対立は表面上のお芝居で、平家滅亡後、梶原景時が離反したという解釈をとっています
狩りが無くなったら猟犬は必要ない。もっと言えばキケン。
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後白河法皇に利用される
頼朝の力が突出する事を嫌う後白河法皇が、それに抗う力として義経を利用しようとした
清盛や義仲に幽閉されただけでぎゃんぎゃら騒いでいたが、自身の後継者後鳥羽はなんと島流しにされてしまう。義仲が皇位継承問題に口をだしたと怒っていたが、承久の変後の皇位も武士の好きにされてしまう。
源行家の口車
北条義時の陥穽
この時に、三浦義村(山本耕史)が放つセリフがまたゾッとする。
ここの最後の衣川館での義経、義時の会談では、意外な真実が明らかになります。
北条義時(小栗旬)や三浦義村(山本耕史)が、対人操作の面でどんどん成長していきますが、彼らは頼朝のようなマキャベリストになるのか?それとも・・・
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三谷幸喜の義経象
滅ぶという結末が決まっているので、それに相応しい人物像に作り上げている。
- 宇治川の戦いでは木曽義仲を嘘の情報で騙して討ち取る
- 一ノ谷の戦いでは和議を装い、平家をだまし討ちする
- 壇ノ浦の戦いでは、非戦闘員(当時の常識)の漕ぎ手を射るという卑怯な手段を用いる
武士としては恥ずべき行為をしながら平然としている。
もっとも誠実性などに欠けるところはマキャベリストの源頼朝も似たようなモノ。
今までの悲劇の貴公子や判官びいきとは一線を画した義経象が楽しめそうです