オペレーター
テレビアニメ「平家物語」第5話「橋合戦」の考察です。今回は、平家物語の四巻部分、重盛亡き状況から治承三年の政変、安徳天皇の即位、以仁王の挙兵、三井寺(園城寺)炎上までが描かれました
ひとみん
「鎌倉殿の13人」では3話と同じ時代です。こちらは、鎌倉側(頼朝や北条)の視点なので、合わせて見るとより楽しめますよ!
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円城寺
相変わらず盛りだくさんなので、補足しながらレビューしますね。それから、今回は、注目のイケメン?平重衡が登場します!
治承三年の政変
宗盛に対する不安・不満
オペレーター
重盛亡きあと、正式に平家の棟梁となった宗盛に対して、不安や不満を露わにするキャラが描かれました。
円城寺
宗盛の人徳の無さが強調されるようなエピソードのオンパレードでしたね
オペレーター
取り合えず今回のエピソードに関わっている五男までです。カッコ内は母になります
長男:重盛(高階基章の娘)
次男:基盛(高階基章の娘)
三男:宗盛(平時子)
四男:知盛(平時子)
五男:重衡(平時子)
オペレーター
24歳で早逝していますので、物語開始時には存命していません。因みに徳子の母も、平時子です
知盛と徳子兄妹
円城寺
知盛は、デリカシーには欠けるけど、裏表の無い好漢として描かれていたわね
びわを重盛の隠し子と勘違いをしたり、高倉天皇に別の女性との間に子供が出来た事を徳子の前でしゃべったりデリカシーには欠ける知盛。
(知盛)重ね重ね余計な事を申した!
(知盛)兄弟力を合わせモリモリヒラリとガンバルさ
しかし、徳子はそんな知盛を好意的に見ている。
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後白河法皇の策略
オペレーター
一方、重盛を亡くし、呆然自失とした日々を送る清盛について、知盛が語る場面がありました
灯篭と清盛
円城寺
ここの構図は灯篭が印象的でした。2話で灯篭殿と揶揄された重盛ですが、清盛を囲んでいるみたいな構図でしたね
【考察】アニメ「平家物語」第2話 ネタバレ感想 表情を見せない演出テレビアニメ「平家物語」第2話「娑婆の栄華は夢のゆめ」の考察です。第2話は祇王に関するエピソードと、徳子の入内に関するエピソードが中心です。...
オペレーター
一方、清盛が呆然とした日々を過ごしている間に主導権を取り戻そうと、後白河法皇は、関白松殿基房と謀をします
風雅
後白河法皇が虫を叩き潰す描写があるのですが、この時代の貴人(皇族や高級貴族)にとっては武士は虫けら同然なんですね。それが描写されていました
この後、樹で画面が遮られて真っ暗になる
円城寺
それとここの場面切り替えが粋ですよね。牛車が動いていて、樹が後白河法皇を写すのを遮るのですが、そのタイミングで場面が清盛サイドに変わります。
清盛の怒り
オペレーター
ここで後白河法皇がやりたい放題をして、清盛が遂に怒ります
【後白河法皇のやりたい放題】
1.盛子の遺産を白河殿倉預(くらあずかり)として没収
2.重盛の遺領越前を重盛の子供ではなく藤原季能に与える
3.清盛の女婿・近衛基通を押しのけ松殿基房の子供師家が8歳で権中納言になる
※盛子の遺産は、盛子の夫の実子・近衛基通か、盛子が准母となっていた高倉天皇が相続するのが順当でした。
風雅
2が特に重要ですね。重盛一門の離反を防ぐのが、清盛のこの当時の大きな関心事でした。重盛の遺領を遺児たちからとり上げられると、重盛一門の生活基盤が脅かされます
円城寺
一応、重盛の遺領を没収した松殿基房は許せないというセリフはありますが、重盛の遺児たちの生活基盤については、作中ではあまりフォーカスされませんでしたね
風雅
これにフォーカスすると、清盛サイドにもやむにやまれぬ事情があった、ということになるからでしょうね
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オペレーター
怒りに燃える清盛は兵を引き連れて京でクーデターを起こします
院の近臣は39名が解官。松殿基房親子は追放。後白河法皇も幽閉となった。
怒りに燃える清盛
オペレーター
鹿ケ谷の陰謀の時は、重盛が止めましたが、今回は止める存在が不在の為、後白河法皇が幽閉されることになりました
風雅
今の価値観でいうとそうなんですけど、当時の価値観ではこれはやり過ぎで、反動が出る事になります
雪が舞う後白河法皇の瞳
円城寺
後白河法皇の瞳が雪景色になり、そのアップから場面が吹雪の御所に変わります
安徳天皇即位
幼少のエンペラー
清盛は歴代でもっとも若い、と言っていたが、史上最年少は先々代の六条天皇である
(清盛)そなたの子が、わしの孫が天皇になったのだぞ
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イケメン?!重衡登場!
オペレーター
そして現在、歴女を中心に乙女心を鷲掴みにする平重衡が登場します
乙女ゲーなどで、イケメンとして登場する平重衡。この作品では20代なのにイケオジでした。まあ、人生50年の時代だから、今で言うと40代相当という見方もあるかもしれません。
びわに悪口をいう資盛に対して、
(重衡)資盛、そんなに口が悪くては女御どのたちに嫌われるぞ。そなたの想い人にもな。
びわの手を握りながら
(重衡)重盛兄上は、そなたには随分世話になったと聴く。もし困ったら私の所においで。いつでも助けよう。
オペレーター
複数の資料に容姿端麗ぶりが書かれています。また、同時に武将としての将才も称えられているうえ、ムードメーカーとして面白い事をして周囲(特に女性)を笑わせる事もたくさんあったようです。その為、当時から女性人気は高かったようです
ドロシー
イケメンで、才能があって、人当たりが良くてオモシロイ。三拍子そろってるね
以仁王の挙兵
以仁王とは
オペレーター
後白河法皇の子供で、高倉上皇の兄にあたる人です。才気に溢れるとの評判でしたが、平家物語の設定では平滋子に妨害されて親王宣下も受けられず、安徳天皇の即位で、事実上、天皇への道を絶たれてました
※平滋子が親王宣下邪魔したという事は疑問視されています
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円城寺
平家物語の中では、平宗盛に恥辱を受けた、源頼政が、以仁王に挙兵を促したってなっていましたね
誰が挙兵を通報したか
オペレーター
以仁王と源頼政の平家打倒計画は、通報により、清盛の知るところとなり、準備が整わないまま、以仁王と源頼政は逃亡する事になります
ドロシー
以仁王はからくも、追手を振り切り園城寺に逃げ込むのよね
円城寺
そして園城寺は、延暦寺と興福寺に連帯して平家を打倒するように呼びかけます
維盛、出陣
オペレーター
以仁王挙兵の報告を受けた清盛は、まず延暦寺を調略します
(清盛)両方を味方につけずとも片方の翼をもげば飛べぬ
風雅
この当時座主の明雲は、3話の鹿ケ谷の陰謀の件もあり、後白河法皇よりも清盛と親しいですからね
これに対して興福寺は奈良の既得権益を平家にかなり侵食されていたので、反平家色が強かった。
円城寺
以仁王が平等院で休憩しているという報告を受けた清盛は、知盛、重衡、維盛を大将とする軍勢を追討に派遣します
ひとみん
維盛の出陣の時、資盛が茶化すけど、実際はすごく心配している所、兄弟が感じられる
(資盛)琵琶の音がうるさくて眠れないよ
(びわ)雨の音に紛れ聞こえぬと思うた
(資盛)兄上、子供の頃より怖がりで刀を振るうより舞を舞う方が兄上には似合ってるんだけどな。兄上・・・大丈夫かな
橋合戦の構図
オペレーター
では、今回のクライマックス、橋合戦にいたる前の構図を整理しましょう
- 挙兵計画が発覚した以仁王、源頼政は園城寺に保護を求める
- 園城寺は延暦寺と興福寺に連携を求めるが、延暦寺は平氏に調略される
- 以仁王、源頼政、園城寺の僧兵は、興福寺を目指す途中平等院で休憩
- 途中、平等院目指して平家の大軍2万8千が追撃をしてくる
- 以仁王側は宇治川の橋で迎え撃つ
オペレーター
そして追いついた平家軍。遂に合戦の幕が切って落とされます!
平家二万八千余騎、木幡山(こはたやま)うち越えて、宇治橋の詰(つめ)にぞおし寄せたる。
「すはや、討ち奉れ、討ち奉れ」
しかれども。
「橋を引いたぞ、過ちをするな」後陣はこれを聞きつけず、我先にと進むうちに、二百余騎おし落され流されけり。
これより両方の詰にうっ立て矢合はせす
そこへ五智院の但馬(たじま)鎧もかけず盾も持たず通りけり
向ってくるをば切って落す、切って落す。
それよりしてこそ、矢切(やぎり)の但馬とは言はれ
五智院の但馬
円城寺
園城寺の僧兵と言う設定ですが、実在の人物では無しに、創作上の人物ですね
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良いところは全部重衡
オペレーター
橋の上で苦戦する平家ですが、重衡の進言で川を渡り、一気に形勢を有利にします
ドロシー
これ原作では、別の武将が進言した事になっているけど、良いところは全部重衡って感じよね
維盛を励ます
(重衡)無理はせずとも良い。落ち着いて倒せるものだけ倒せ
流れたものを助ける
(重衡)流れたものは皆で助けろ!誰も置いていかぬぞ
風雅
4話までの重盛のポジションが重衡になった感じですね
ベトナム帰還兵のような維盛
円城寺
維盛の描写は、画面がめまいのように揺れたり、目と涙を描くとき、背景を真っ黒にしたり、色々手が込んでましたが、ちょっとやり過ぎ感がありました
実際の維盛は、橋合戦に続いて、興福寺まで兵を進めようとして、家臣の藤原忠清に「晩に臨みて南都に着くの条、思慮あるべし、若き人々は軍陣の子細を知らず」と制止されている。
ドロシー
ベトナム戦争を扱った映画見たいよね。病むよ、病むよっていうサインなのかな
維盛の夢
風雅
この後、平家滅亡の決定的な敗戦になった、富士川や俱利伽羅峠で維盛が総大将を務めました。考えられるとすれば、平家滅亡の責任を維盛に負わせないための布石でしょうか
それぞれの捉え方
大満足の清盛
ドロシー
対象的に真ん中で肩を落としているの、維盛と思わせて重衡よね
円城寺
歴史上は、ずっと後の重衡の園城寺討伐(橋合戦は5月、園城寺攻撃は12月)ですが、その後という設定でしたね。重衡の命運を暗転させた南都焼討ちはさらにこの後ですね
重衡と維盛
(重衡)闘うは武士の習いだ。戦うからには負けてはならぬ
徳子
オペレーター
高倉上皇はさらに二人目の男の子(後の後鳥羽天皇)を設けて、徳子は精神的におかしくなっています
(徳子)でも私は赦すの。父上も、上皇様も、法皇様もみんな。赦すだなんて偉そうね。でも、どちらかがそう思わねば、憎しみ争うしかない。でも私は、世界が苦しいだけじゃないって思いたい。だから、私は赦して、赦して、赦すの
ドロシー
”赦す”の所で、戦場で陽が差すメタファーがあったけど、戦場は相手が倒しに来る(平家追討)から命がけで戦っているのだから、イチイチ赦してたら生きていけないわね。戦う自分を許すって事かな?
風雅
現在進行形で、身に掛かる火の粉(現在進行形の脅威)は払わなければならないですからね。現在は何の脅威も無いのに、昔の事を恨んで憎しみで攻撃を続けるのは、不毛って事じゃないですかね
円城寺
現在進行形の脅威じゃなく、昔の恨み事なら赦した方が生産的と言うのは頷けますね
びわ
オペレーター
びわは重盛から引き継いだ霊視の眼で父や重盛に問いかけます
霊的なオーラ?を見せるびわ
「橋合戦」まとめ
円城寺
ということで「橋合戦」は、平家物語の中で最初の合戦らしい合戦ですが、反合戦派の徳子や維盛に重きを置いた描写だったでしょうか
風雅
平家物語って、諸行無常とか、盛者必衰とかで、仏教のお説教っぽい内容だと思いがちですが、そうした印象と異なり、案外軍記物語部分が多かったりします。でも、ヒューマンドラマとして描こうとすると、どうしても徳子や維盛をそういうポジションにせざるを得ないのかもしれませんね
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